2010-01-01から1年間の記事一覧

十二月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 12/1 『ポリス・ストーリー/香港国際警察』 ジャッキー・チェン 12/3 『モーツァルトの音符たち』 池辺晋一郎 12/4 『眠られぬ夜のために〈第1部〉』(途中まで) ヒルティ 12/5 『ポー詩集』 エド…

ラジオの音と過ごした時間

日曜の朝にきまって聴いているラジオ番組がある。本日の放送内容はポルトガル特集であり、現地の音楽も何曲か紹介されていた。このような音楽を聴くことで、思うことがある。 高校時代に、いわゆる「ワールドミュージック」が好きだった。NHK-FMの夕方や深夜…

十一月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 11/5 『東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・キーワード編』 菊地 成孔、大谷 能生 11/6 『新恋愛講座―三島由紀夫のエッセイ〈2〉』 三島 由紀夫 初恋は他者の発見であること、相手の…

NHK アジア・フィルム・フェスティバル

10月から11月初めかけて、個別にブログに書いた以外にも、以下の作品を鑑賞した。 『トゥルー・ヌーン』 ノシール・サイードフ 『僕たちのキックオフ』 シャウキャット・アミン・コルキ 『シャングリラ』 丁乃筝 どの作品も、根底にある社会的な問題扱ってい…

『社会契約論』 ジャン・ジャック・ルソー

2010/10/30読了 中山元氏翻訳作品の二作目。 社会契約の定義 「どうすれば共同の力のすべてをもって、それぞれの成員の人格と財産を守り、保護できる結合の形式をみいだすことができるだろうか。この結合において、各人はすべての人々と結びつきながら、しか…

一〇月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 10/3 『平家物語』 10/17 『ジゼル』越智インターナショナルバレエ 越智久美子、吉冨由見子、越智友則 10/27 『バーンスタインのマーラーの交響曲第5番、交響曲第9番[リハーサル付き]』 このほか…

『Orzボーイズ!』 ヤン・ヤーチェ

2010/10/20鑑賞 NHK アジア・フィルム・フェスティバルより 「次世代の映画」を強く感じさせる作品であった。 基本的には幼少時のノスタルジアを扱った作品であり、例えば何機ものファンでトイレットペーパーを飛ばし、愉しさを覚える感覚や、一人の時に…

『タハーン 〜ロバと少年〜』 サントーシュ・シヴァン

2010/10/12鑑賞 NHK アジア・フィルム・フェスティバルより 映画に登場する、登場人物の服装や貧乏人への搾取、民謡を唄う習俗などは、舞台となるカシミール地方のステロタイプなイメージという印象を受ける。それでもこの映画にリアリティがあるとすれば…

『ピノイ・サンデー』 ウィ・ディンホー

2010/10/6鑑賞 NHK アジア・フィルム・フェスティバルより 台湾社会に生きる、出稼ぎのフィリピン人たちが主な登場人物になる。 劇中、様々な境遇にある彼らが登場するが、その穏やかな明るさが気持ちいい。舞台が南国の台湾であることも影響してか、どこ…

『人間不平等起源論』 ジャン・ジャック・ルソー

2010/10/9読了 今年読もうと計画していた、中山元氏翻訳作品群の一作目。 不平等が発生する前の人間像として「野生人」像を提示した本書であるが、フランス文学の伝統に沿った、人間研究の書といった趣もある。以下のような内容の主張がなされている。 ・人…

『クーデタ』 ジョン・アップダイク

2010/10/3読了 アメリカに住んでいるあいだ、薬屋や交通渋滞のさなかにいる時に、わたしはしばしば自分が、貪欲で、葉のたくさんある、眩しい、顎の中にいるという感じを味わった。このカニンガム家の居間にはあちこちに宇宙的な匂いが水たまりのようによど…

九月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 9/26 『フランス名詩集』 井上 究一郎 『トーマの心臓』 劇団スタジオライフ 9/30 『氷点』 山本薩夫 『理論劇画 マルクス資本論』 門井 文雄フランス名詩集 (ちくま文庫)作者: ロンサール,デュ・ベ…

「テオ・アンゲロプロス特集」

BS2での特集上映を視聴。以下の3作品を鑑賞した。 『霧の中の風景』 8/28視聴 ドイツへと向かう幼い姉弟の行動を描いた作品。強姦され売春を覚える姉、時代に取り残された劇団、またストーリーと直接関係はないが、海から引き揚げられる石造の巨大な手など、…

『沖縄文化論』 岡本太郎

2010/9/4読了 現代芸術と沖縄文化の関連 現代芸術はその一般的官僚化、小市民化に対しての告発であり、失われた時間の奪回である、それは人間生命の暗闇から根源的な感動をひき出し、純粋な形で叩きつけようとする。――西欧精神が究極としてうち出した、なる…

第372回定期演奏会 バーゼル/名古屋フィルハーモニー交響楽団

2010/9/3 斉木由美:二つの素描−独奏ヴァイオリンとオーケストラのために マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調 マーラーは自分にとって鬼門となっている作曲家である。そのため、今回の演奏会では初めて事前に解説書を読み、臨んでみた。 鑑賞の結果、例えば対位…

[社会科学][芸術][バレエ]八月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 8/1 『シンデレラ』 パリ・オペラ座バレエ アニエス・ルテステュ、ジョゼ・マルティネズ、ステファン・ファヴォラン、レティシア・プジョル、ステファニー・ロンベール 8/3 『癒しの島、沖縄の真実…

「ブルース・リー特集」

2010/7/27-29鑑賞 BS2で放映された『燃えよドラゴン』『ドラゴン危機一発』『ブルース・リー 死亡遊戯』を観た。 この時代の映画を観る際の習慣として、どうしても背景の街並みやその表象のされ方に注目してしまうことが多い。今回も『燃えよ』『危機一発』…

『恋愛論』 吉行淳之介

2010/7/19読了 (サガン『ある微笑』から十五日間の同棲生活後の男女の感情変化に関して)私は、そのどれかはっきり結論を出せないが、ただこういうことは言える。誘い込んだ地点のセックスに辿り着いた場合、男性はそのことによって相手への関心の多くの部…

七月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 7/1 『何日君再来』 7/4 『経営戦略の思考法』 沼上幹 7/6 『ロミオとジュリエット』 グルジア国立バレエ ニーナ・アナニアシヴィリ、アンドレイ・ウヴァーロフ、ワシル・アフメテリ、岩田守弘 7/11…

ザ・風景 変貌する現代の眼/名古屋ボストン美術館

2010/7/18鑑賞 「表象」というものは、私が美術を鑑賞するときに、常に意識に抱いていることだ。 今回の展覧会は、まさに風景の表象のされ方を扱ったものであり、表現方法はある程度予想されるものだろうか、という思いもあった。しかし、鑑賞後の印象として…

『8 1/2』 フェデリコ・フェリーニ

2010/6/25鑑賞(再観) 「君の間違いだらけの人生を描いた作品だろ 観客は喜ばん 君のぼんやりとした記憶や、愛せなかった人たちを―― 寄せ集めて作ったとして何になる」 「急に幸せな気分になり、力がみなぎる 許してくれ ぼくは分かっていなかった 君を受け…

第371回定期演奏会 パリ/名古屋フィルハーモニー交響楽団

2010/7/10 ガーシュウィン:パリのアメリカ人 中間部の甘美なトランペットが素晴らしかった。また、強音部の各楽器の主張も良かったと思う。一方で、弱音時、中音時にもそのような主張がほしいと感じた。 以前よりこの曲には「パリ」よりは「ニューヨーク」…

『村上春樹 イエローページ3』 加藤典洋

2010/5/28読了 「稚拙な物語」について 『アンダーグラウンド』、『約束された場所で』で得た、「ただの人」と「稚拙な物語」という新しい要素への覚醒が、村上氏第二期の飛翔のきっかけとなった、との指摘がある。 この「稚拙な物語」については、思い当た…

生誕200年 ふたりの天才 ショパンとシューマン

2010/6/29 今年3月に放送された番組だが、未視聴であったので時間をとって視てみた。 紹介された曲はつぎの通り。 ショパン 「幻想即興曲」 タチャーナ・シェバノワ 「24の前奏曲」 マウリツィオ・ポリーニ 「ピアノ協奏曲第1番」 NHK交響楽団 シューマン 「アラベス…

六月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 6/3 「パリ・オペラ座バレエ『バレエ・リュス・プログラム』」 「ばらの精」マチアス・エイマン、イザベル・シアラヴォラ 「牧神の午後」ニコラ・ル・リッシュ、エミリー・コゼット 「三角帽子」ジ…

『予感』 モスタファ・R・キャリミ

2010/5/22鑑賞 2007年のイラン映画。精神的な疾患を抱えた人物を中心に、ある夫婦の危機をえがく。 同国を代表する監督である、アッバス・キアロスタミが現代性を排除した「イラン的叙情」とでもいうべきものを表現しているのに対し、この映画は伝統的な・イ…

五月に読んだ本・観た映画

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 5/15 『今昔物語集』 5/16 『ドイツ名詩選』 5/20 『ロシア文学案内』 藤沼貴・小野理子・安岡治子 5/21 『「量子論」を楽しむ本』 佐藤勝彦ドイツ名詩選 (岩波文庫)作者: 生野幸吉,桧山哲彦出版社/…

『1735km』 グエン・ギエム・ダン・トゥアン

2010/5/17鑑賞 2005年のベトナム映画である。以前鑑賞した、同じ時期のインドネシア映画『ガレージ』が、非常に同時代性を感じさせる作品であったのに対し、この映画からはまた違う印象を受けた。 確かに、PCや携帯電話など、現代的な意匠もあり、それらの…

第369回定期演奏会 バーゼル/名古屋フィルハーモニー交響楽団

2010/5/15 オネゲル:交響曲第4番『バーゼルの喜び』 20世紀前半の作品らしく、当時のポピュラー音楽で使われているような和音や、シンコペーションの技法が用いられている。ただし、楽章が進むにつれ、曲は難解な印象を増していった。 ラヴェル:ピアノ協奏…

『恋愛論』 スタンダール

2010/4/10読了 虚栄恋愛について この平凡な関係でもっとも幸福なのは、肉体的快楽が習慣によって増大する場合である。思い出がこの関係をちょっと恋愛に似せる。すてられると自尊心の傷みと悲哀が生じる。そして小説的な想念が喉をしめつけるので、人は恋を…