2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧
90年代消費社会の諸様相をめぐる、「リアリティ」の捉え方が著されていますが、この本の主張のひとつはディズニーランドをめぐる次の文章に表れています。 現代日本の都市文化を覆っている「かわいい」ことや「オシャレ」なことへのこだわりは、このような時…
19世紀後半から20世紀前半にかけて発表された、ロシアの作家達のクリスマス物語を収録しています。 温かい、道徳的な話が多いのかと思いきや、皮肉の利いた話なども多く、作品によってクリスマスの捉え方に違いがあるところも興味深いです。 ただ、やはり印…
今回、やっと見ることができましたが、多くの人の評のとおり「わからない」という第一印象があります。 映画で見るべきところは、例えば原始人からスターチャイルドへ至る進化の道であったり、未来の旅の具現化であったり、あるいは純粋な映画技術的な要素で…
『イエローページ』の主張に沿って、「マクシムの解体」をテーマに読んでみました。 それぞれの短編でマクシムが解体する場面は、たとえば次の部分に表れています。 象の消滅を経験して以来、僕はよくそういう気持ちになる。何かをしてみようという気になっ…
理想の男性との結婚にこだわる、一人の女性の生活を描いています。 彼女はアンティークショップで働きながら修士論文も作成中である、大学院生の身分のようですが、仕事に関しては「商売を替えて楽しみながら売りたい」「モノを作る仕事をしたい」、生活に関…
ときどき思い返したように読む坂口安吾を読みます。 彼が多くのエッセイの中で言っていること、その一つである「現実へ堕ちよ」という主張が、この本でも繰り返し主張されます。 たとえば、『教祖の文学』では次のような芸術論を述べ、小林秀雄を「鑑定家の…
1930年代に書かれた小説ですが、その時代の意匠も感じる一方で、非常に現代的なものも感じました。それは、人々の考えかたや行動に関してではなく、悪魔であるヴォランド一味のキャラクターについてです。彼らの姿は、例えば古い幻想小説に出てくるものとい…
東北を舞台に、ある一族のさまざまな人物を中心にした、近代・現代が語られます。その語りの中で、作者は、正史・偽史のゆらぎや現代の歴史化を試しみているように思えます。 たとえば、『「見えない大学」付属図書館』では、「記録に合わせて現実を修正する…