2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「旅する哲学」/アラン・ド・ボトン

2006/11/29読了 「わたしは片隅に坐ったまま、チョコレート・フィンガーを食べ、ときどきオレンジ・ジュースを飲む。私は孤独だったが、このときだけは、穏やかな、心地よくさえある孤独だった。それというのも、笑いと友情の背景に溶け込もうとしたら、私の…

夢の宇宙史/澁澤龍彦

2006/11/28読了 「機械は、少なくとも新時代の発端においては、自然の活動する生き生きした姿に対抗し得るような、自立的な精神世界が存在しうるということの証拠であり、矛盾に満ちた生のままの自然現象よりも、はるかに分別があり、合理的に身を処すること…

白夜/ヴィスコンティ

2006/11/22鑑賞(再観) イタリア北部の小さな町が舞台。橋の上で知り合った女に恋する男の悲恋の物語。ラストの町が雪に包まれる中での別れのシーンが印象的。 「僕は生まれ変わった。前とは違う人間だ。説明できないけど自分で分かるのさ。この町が陰気に見…

夏の嵐/ヴィスコンティ

2006/11/21鑑賞 19世紀、オーストリア占領下のヴェネチアで、一人の将校に恋した女性の物語。美しい絢爛なセット、リアリティのある街並の風景が非常に印象的な作品だった。

黒衣の花嫁/トリュフォー

2006/11/15鑑賞 結婚式当日に事故によって夫を殺されたジュリー・コレールは、加害者となった男たちを見つけ出し次々に殺していく。殺す前に加害者に恋心を抱かせているところが面白い。物語の最後に獄中で最後の加害者を殺した直後、メンデルスゾーンの『結…

北回帰線/ミラー

2006/11/12中断 古典の新訳ということで読んでみた。文章自体は読みやすく内容も理解は出来るのだが、突っぱねられるような印象を受け読むのを止めてしまった。中上健次やサドを読んだ時にも似た経験がある。AMAZONのレビューでは中上健次の作品と共にこの本…

ものぐさ精神分析/岸田透

2006/11/11読了 「和魂洋才とは外面と内面とを使いわけるということである。(中略)ある危機的状況にあって、外面と内面との使いわけというこの防衛機能を用いることが、精神の分裂をもたらすのである。」(19) 「人格の統一性の裏づけを欠いた精神分裂病的な…

獣人/ゾラ

2006/11/5読了 「自分でも奇妙に思われるのは、この砂漠のような奥まった片隅で途方に暮れ、胸の内を打ち明けられる相手もだれもなく暮らしているのに、昼も夜もひっきりなしに多くの男たち女たちが、嵐のように襲ってくる列車に乗って、家を揺すぶり、全速…

恋のエチュード/トリュフォー

フランス人クロードはイギリス人アンとミュリエルの姉妹に出会い、共に暮らすことになる。彼は姉アンの計らいからミュリエルと婚約するが、結婚まで分かれて生活している内にアンと恋に落ちる。しかし、二人の仲はミュリエルの知るところとなり、恋は破局す…