「テオ・アンゲロプロス特集」

BS2での特集上映を視聴。以下の3作品を鑑賞した。

霧の中の風景

8/28視聴
ドイツへと向かう幼い姉弟の行動を描いた作品。強姦され売春を覚える姉、時代に取り残された劇団、またストーリーと直接関係はないが、海から引き揚げられる石造の巨大な手など、映画全体が「かなしみ」を表現している。

『永遠の一日』

9/8視聴
余命いくばくもない老人が過去を回想する。記憶の映像のなかに本人が登場するなど「意識の流れ」を映像により表現する手法が見られる。背景に集団でたたずむ少年たちが登場する場面が二箇所あり、強い印象を与える。

『エレニの旅』

9/16視聴
エレニと夫、双子の息子を中心に、ロシア革命難民の生きざまを描く。『霧の中の風景』にある「越境」や「かなしみ」を現代史のダイナミズムのなかで表現しているように見受けられる。ただし、今作に関しては「時代から翻弄される主人公」の要素が強すぎる印象があった。越境者のかなしみを過剰に表現することが、かえって作り手の非当事者的な視点を強めてしまうように思えるのだ。

エレニの旅 [DVD]

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