2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

愛に関する短いフィルム/クシシュトフ・キェシロフスキ

2008/9/29 中年前の女性と、彼女の生活をのぞき見する19歳の青年の模様を描く。彼をいったんは拒んだ彼女は、彼の純真さに気づき、優しく接しようとする。しかし、少年は彼女の優しさを拒み、手首を切る。 背景は共産主義国にありがちな殺風景な郊外住宅地…

モンソーのパン屋の女の子/エリック・ロメール

2008/9/27 パリのある青年が、恋している知的な女性を待ち伏せするうち、待ち伏せ場所の近くにあるパン屋の娘に魅力を感じ始めるようになる。パン屋の娘を食事に誘った晩、最初の女性と久しぶりに再会した彼は、約束をすっぽかし、彼女と食事に出かけてしま…

ふたりのベロニカ/クシシュトフ・キェシロフスキ

2008/9/21 名前・顔が同じふたりの女性をテーマにしたストーリー。ラストはポーランドのベロニカの存在と死を知った瞬間、フランスのベロニカが彼女との偶然の邂逅を思い出し泣き崩れる、というシーンで終わる。 ストーリー自体はアイデア勝負の作品といった…

ゼロ年代の想像力/宇野常寛

2008/9/7-9/16 ゼロ年代とはどういう時代か 「重要なのはその物語の内実ではない、態度=あり方なのだ。ゼロ年代における物語回帰の問題点はむしろ「人間は何か(の価値、物語)選ばなければいけないのだから、信じたいものを信じればいいのだ」という「あえ…

ラスムスくんの幸せをさがして/オル・ヘルボム、ロルフ・ハスバーグ

2008/9/15 スウェーデンの児童文学を映画化した作品。内容は孤児院の少年が風来坊の男と行動を共にする中で、お金持ちの生活よりも貧乏でも精神的に豊かな生活を選ぶ、というもの。 この作品は1981年に公開されたものだが、すでに豊かな福祉社会であったスウ…

謎とき 村上春樹/石原千秋

2008/8/30-9/14 「「僕」がこの「手記」で一番隠したかったのはこのことだった。「僕」と鼠の友情物語は、実は「僕」と「小指のない女の子」の物語を内包しながら、「僕」と鼠と「小指のない女の子」との三人の物語に転換していたのだ。そして、「僕」が勝っ…

幻想の肖像/澁澤龍彦

2008/8/2-9/10 一枚の肖像画を題材にした、短編エッセイ集。 絵の作者のことや代表的な解釈のほか、作者による独自の印象論、歴史や精神分析の知識を援用した見方なども提示している。

太平洋の防波堤・愛人/デュラス 悲しみよこんにちは/サガン

2008/8/12-9/4 『太平洋の防波堤』 「「起きたって、なにができるのかわからないんだよ。あたしはもう、誰のためになにをしてあげることもできないんだよ」 彼女は話しながら両手をあげ、無力感といらだたしさをこめた動作でそれをまたベッドの上におろした…

太陽/アレクサンドル・ソクーロフ

08/9/1-9/3 太平洋戦争末期と戦後を舞台背景に、昭和天皇と彼を取り巻く人々を描く。 昭和天皇は神経質そうで、やや変わりもののように描かれている。また、発言の内容は抽象的で意味がとれないことも多い。ただし、それが昭和天皇の性格から来るものでなく…