『Orzボーイズ!』 ヤン・ヤーチェ

2010/10/20鑑賞
NHK アジア・フィルム・フェスティバルより
「次世代の映画」を強く感じさせる作品であった。
基本的には幼少時のノスタルジアを扱った作品であり、例えば何機ものファンでトイレットペーパーを飛ばし、愉しさを覚える感覚や、一人の時に覚える言い知れない恐怖感の描写には、鋭敏なものがある。
しかしその中に、下層階級の登場人物たちをどこか突き放した視点や、キャラクターを使用したアニメーションの導入などの前衛的な演出が含まれている。
主人公の二人は「異次元」に行くことにあこがれ、それがプールのウォータースライダーによって比喩される。思えば、スライダーのチューブの中や、プールの中に入った瞬間の不安感は、幼少の頃に異次元を感じられる、特異な場所であったと思う。
映画自体は、時代を反映したものなのか、アンチテーゼなのか、単純には分からない。しかし、斬新な演出の中にあるあたたかさ、そしてこの作品が製作国の台湾で大きな反響を呼び起こしたという事実は、時代への小さな救いと感じることもできる。