2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

七月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 7/6 『戦争と平和』(再観) セルゲイ・ボンダルチュク 7/11 『にごりえ』 今井正 『ラヴェル (作曲家別名曲解説ライブラリー)』 7/13 『ダークナイト』 クリストファー・ノーラン 7/18 『ボスタ! …

『仮面の告白』 三島由紀夫

2011/7/3読了 しかし困ったことに私の直感が園子の中にだけは別のものを認めさせるのだった。それは私が園子に値いしないという深い虔ましい感情であり、それでいて卑屈な劣等感ではないのだった。一瞬毎に私へ近づいてくる園子を見ていたとき、居たたまれな…

『ブラームス:ヴァイオリン協奏曲』 オイストラフ、クリーヴランド管弦楽団

「この音楽には、ベートーヴェンにはなかった一種の郷愁の味わいがある。一抹の憂いを帯びた味わいがある。それは、このあとになってもぬけない。いや、それどころか、あんなにおちついた、のびのびとした拡がりのように思われたものが、いつのまにか省察と…

『ドビュッシー:前奏曲集』 ベロフ

ドビュッシー晩年のピアノ作品集である。かつて「亜麻色の髪の乙女」など有名な幾曲かを聴いたことはあったが、改めて全曲を聴くことでまた異なった印象となった。 何よりも強く感じることは、曲による表現技法の幅広さである。増5度や9度の音を多用した和声…

『ハイドン:弦楽四重奏曲 作品64-5』 スメタナ四重奏団

まさに古典派、まさに中庸。完璧な構成の中に育ちの良さを感じさせるこの作品には、仰々しい感情の動きは存在せず、どこまでの明るく、軽やかだ。 「そのかわり、感傷はない。べとついたり、しめっぽい述懐はない。自分の悲しみに自分から溺れていったり、そ…