2012-01-01から1年間の記事一覧

十二月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 12/1 『大阪アースダイバー』 中沢 新一 12/19 『お早よう』 小津安二郎 12/12 『髪結新三』『春興鏡獅子』 中村勘三郎(主演) 12/25 『つくられた桂離宮神話』 井上章一お早よう [DVD]出版社/メー…

A PROPOS DE PARIS/アンリ・カルティエ=ブレッソン

カルティエ=ブレッソンのエッセイ集には、レス枢機卿によることばが引用されている。――この世に決定的瞬間を持たないものはない。 1930年代〜70年代のパリを撮影したこの写真集を、これほど適切にあらわす表現も珍しいだろう。 写真集には、パリにおける人…

十一月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 11/3 『アンリ・カルティエ=ブレッソン』 クレマン・シェルー 11/8 『オーケストラの読みかた―スコア・リーディング入門』 池辺晋一郎 11/17 『ベートーヴェン ソナタ・エリーゼ・アナリーゼ!―名曲…

十月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 10/6 『天使が通る』(再読) 浅田彰 島田雅彦 10/12 『拝啓天皇陛下様』 野村芳太郎 10/13 『こころの眼―写真をめぐるエセー』 アンリ カルティエ=ブレッソン 10/14 『今こそアーレントを読み直す…

舟越桂2012 永遠をみるひと/メナード美術館

2012/10/21鑑賞 舟越桂は、時代の無意識を表現する作家である。展覧会を見終えて感じた印象は、そのようなものであった。 彩色した楠に大理石の眼をはめた、古典的と言えなくもない作品。しかし、そのひとつひとつには、製作を通して捉えられた、時代の空気…

『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(上)』

2012/9/23読了 人生論 ・経験はいつわるものではない。経験にもとづくわれわれの判断が誤るのだ。 ・健全な霊魂というものがあるとすれば、それは健全な肉体にやどる。 ・感覚を通過しない精神的物質は空疎である。奇跡や魔法や錬金術は、害のほかになんら心…

九月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 9/1 『東京五人男』 斎藤寅次郎 9/2 『二等兵物語 女と兵隊・蚤と兵隊』 福田晴一 9/5 『エノケンのちゃっきり金太』 山本嘉次郎 9/8 『ローマの休日』 ウィリアム・ワイラー 9/14 『天井桟敷の人々…

『精神の危機』 ヴァレリー

2012/9/9読了 1910〜40年代に発表された論文を収めた内容であるが、社会、経済、文明、政治に対する洞察の射程は、間違いなく現在にまで及んでいる。 過剰な商品・サーヴィス・メディア、明らかな知性の衰退、欧州の地位の低下、先進国における独裁的政治家…

『オードリーの魅力をさぐる―真の女性らしさとは―』 レイチェル・モーズリー

2012/8/19読了 8月に衛星放送で、オードリー・ヘプバーンの映画が集中的に放映されており、改めてその魅力を感じることができた。この本は、50〜60年代に同時代でオードリーの作品を楽しんだイギリスの女性たち、90年代に過去の映画として彼女の作品を楽しん…

八月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 8/5 ボストン美術館 日本美術の至宝(前期)/名古屋ボストン美術館 8/7 『パリで一緒に』 リチャード・クワイン 8/8 『シャレード』(再鑑) スタンリー・ドーネン 8/11 『幸福論』 ヘルマン・ヘッ…

七月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 7/7 『独立愚連隊』 岡本喜八 7/14 『好人好日』 渋谷実 7/15 マックス・エルンスト―フィギュアxスケープ/愛知県美術館 7/24 『パリの恋人』 スタンリー・ドーネン 7/25 『麗しのサブリナ』 ビリー…

『群衆の中の芸術家』 阿部良雄

2012/7/7読了 批評家ボードレール 新進の批評家ボードレールの新しさは、その目的とするものにある。すなわち、当時芸術の享受者となっていたブルジョワ大衆を啓蒙することが、彼の活動の目的であった。それは、当時の芸術界を支配していた「ブルジョワ芸術…

『不思議の国のアリス』 英国ロイヤル・バレエ

2012/6/23鑑賞 ローレン・カスバートソン、セルゲイ・ポルーニン 英国ロイヤル・バレエ16年ぶりの新作として、2011年2月に初演された作品。 作品の楽しさはもちろんのこと、その演出の随所に「いまの芸術作品」を感じさせる、素晴らしい舞台でした。 2000年…

六月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 6/8 『トウキョウソナタ』 黒澤清 6/9 『ガス燈』 ジョージ・キューカー 『身近な写真から学ぶ 一歩先への!写真表現入門』 久門易 6/11 『ウォーターボーイズ』 矢口史靖 6/14 『釣りバカ日誌3』 …

首里の夜

今年の3月に三日間ほど、沖縄で過ごした。 今回は那覇の中心部ではなく、首里のペンションに宿をとった。 3月の那覇は既に気温が高く、夕方も上着を着ずに歩ける。宿から近い儀保、首里周辺を歩くと、夕方の街からは、海沿いの街特有の開放的な空気が感じら…

[文学]『サンクチュアリ』 フォークナー

2012/6/4読了 作者であるフォークナー自身が「想像しうる最も恐ろしい物語」と語ったスキャンダラスな作品。しかし、現在の感覚からは、それほどスキャンダラスな印象は受けない。 むしろ、舞台となる当時のアメリカ南部の停滞した雰囲気や、終始暗さの支配…

五月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 5/2 レオナルド・ダヴィンチ 美の理想/Bunkamura ザ・ミュージアム 杉本博司 ハダカから被服へ/原美術館 5/6 『ゲーテ詩集』 5/12 『琉球王国』 高良倉吉 5/19 『ニッポン無責任時代』 古沢憲吾ゲ…

[映画]『ティファニーで朝食を』 ブレイク・エドワーズ

2012/4/14鑑賞(再鑑) この作品で監督が撮りたかったもの、それはカポーティの物語世界でもなく、オードリー・ヘップバーンでもなく、ニューヨークという街そのものであろう。そう断言したくなるほど、映画でのニューヨークが魅力的に描かれている。通常は…

四月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 4/15 What's an Icon of Style? 時代を彩るファッション/名古屋ボストン美術館 4/22 『フーコー入門』 中山元 『フォークナー短編集』 4/24 『蒲田行進曲』 深作欣二フォークナー短編集 (新潮文庫)…

『家族』 山田洋次

2012/4/7鑑賞 BSプレミアムの特集で3月に放送された作品。タイトルがあまりに直接的であるため、鑑賞を躊躇していたのだが、それを後悔させられるようなすばらしい作品だった。 名作であるため、多様な見方ができる作品だが、同じくロードムービーの傑作であ…

三月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 3/6 『みずうみ』 川端康成 3/6 『黒いオルフェ』 マルセル・カミュ 3/14 『ピアノ奏法―音楽を表現する喜び』 井上 直幸 3/19 『走ることについて語るときに僕の語ること』 村上 春樹 3/25 『クレオ…

川瀬巴水の浮世絵

愛知県美術館で開催されている所蔵作品展で、川瀬巴水の浮世絵を観た。『東京二十景』という、昭和初期の東京の様子を、浮世絵の手法で描いた連作である。 それぞれの作品は安定感があり、新しい東京の風景が、浮世絵にそれほど違和感なく表現されているのだ…

『バッハ:ロ短調ミサ曲』 リヒター、ミュンヘン・バッハ管弦楽団

3月11日を迎えるにあたり、この作品を聴き、復興を祈りたいと思った。 全体は4つの分冊から成っている。 3分冊目までのグロリア、ニケア、サンクトゥスは、キリストの栄光や父なる神を讃える内容である。しかし、ここで奏でられる高らかな勝利の音楽は、大き…

『チャイコフスキー:交響曲第4番、5番、6番』 ムラヴィンスキー、レニングラード管弦楽団

チャイコフスキー後期の交響曲を集めた作品集。その音楽には、ドイツ系の作曲家からは感じられることの少ない物語性の強さ、感情の横溢、そして親しみやすさがある。 作曲家は、その音楽についてのいくつかの文章を残している。 「たしかに作曲者が書いてい…

二月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 2/4 『姉妹』 家城巳代治 2/6 『愛染かつら 総集編』 野村浩将 2/8 『君の名は 第一部』 大庭秀雄 2/12 『頼むから静かにしてくれ〈1〉』 レイモンド・カーヴァー 2/18 『全ての装備を知恵に置き換…

ひかり 絵画にみる光の表現/メナード美術館

2012/2/1鑑賞 平日の午後の美術館は、来館者が10人もいなかったと思う。 以下の作品が印象に残った。 ≪道と電信柱≫ 岸田劉生 1914年の作品。南国の小路にも、東京郊外の風景にも見える。 電信柱と道の組み合わせに、叙情的な新しい美が見つけられたのだと思…

『東京奇譚集』 村上春樹

2012/1/8読了 2005年に発表された作品集。 収録された作品は5編。いずれも、中年(1編のみ20代)の登場人物を主人公とし、彼らの小さな危機とその克服をテーマとしている。 1編目は、同性愛者の男性が姉との関係を回復するまでが描かれる。 2編目は、息子の…

一月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 1/2 『はじめての言語ゲーム』 橋爪大三郎 1/21 『紀ノ川』 中村登 1/22 『楽園への道』 バルガス・リョサ楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)作者: マリオ・バルガス=リョサ,田村さと…

恋する静物―静物画の世界/名古屋ボストン美術館

2011/12/25鑑賞 17世紀〜現代の静物画を紹介した内容。いわゆる「スティルライフ」だけではなく、様々なアプローチで静物を捉えた作品が展示されている。特に興味をひかれた展示は以下のもの。 ・初期の静物画 ヴァニタス画など ・17世紀の食器 動物や果物を…