2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

マレー蘭印紀行/金子光晴

2008/3/19-3/30 著者が旅した昭和初期の東南アジア、その自然や人々、農園、進出した日本人の様子が描かれる。 この本を読んでいる時間、自分の中にある記憶が呼び起こされるのを感じた。地方に住んでいた学生時代、毎年大晦日の深夜に家を出て、車で一時間…

キャッチャー・イン・ザ・ライ/サリンジャー

2008/3/19-3/30 高校を中退した主人公が、ニューヨークの実家に戻るまでの数日間を、彼の行動を追いながら描く。 主人公が、自分がそこをあとにすることを実感するためにフットボールの試合を見下ろす場面や、安物のスーツケースをもつシスターを見て落ち込…

プロフェッショナルの条件/ドラッカー

2007/11/17-12/8 ドラッカーの「自己実現」をテーマにした論文集。どのテーマも興味深く、繰り返し読むに値する本だと思う。 今回、特に次の三つの部分が印象に残った。 新しい仕事が要求するものを考える 「私は新しい仕事を始めるたびに、「新しい仕事で成…

ある結婚の風景/ベルイマン

2008/3/12・13・16 傍目からは理想的関係と見え、自分たちもそのように思っている夫婦が、浮気の発覚、別居、離婚、そして新しい関係を築くまでの様子を描く。 BGMは一切流さないながらも、演出や俳優達の演技により、起伏ある印象を受ける。 衝突することはあ…

ミッドナイト・エクスプレス/沢木耕太郎

2008/2/15-3/16 わたしも、この本の旅ほど刺激的なものではないが、沢木氏と似たような旅をしたことがある。もちろん期間はだいぶ短いものであるが。 そのような旅をやめてから、すでに四年以上たっている。そして、当時の旅や生活は、自分の中ではすでに一…

マラッカ物語/鶴見良行

2008/2/11-3/15 本書での著者の主張は、歴史学の大国主義史観を改めるべき、というところにある。 著者はその主張を、海賊が国家公認の行為であったこと、西洋が香辛料に注目する前から東南アジアの交易社会は存在したこと、アヘンは中国より先にまず東南ア…

ゲイツとバフェット 後輩と語る(BS世界のドキュメンタリー)

2008/3/9視聴 世界の長者番付のトップを争う二人が、ネブラスカ大学の学生と対談した模様を放送した番組。 学生達の質問への回答として、二人の以下の考えが印象に残った。 「性格や適性にあった仕事をしていくのが、結局は一番効率的」(バフェット) 「外…

オリバー!/キャロル・リード

2008/3/3・4・9 ディケンズの名作をミュージカル映画化。 美術は、舞台となる十九世紀初頭の空気感をうまく表現している、とのこと。 悲劇もあるのだが、俳優達の演技や歌が、どことなくほんわかした雰囲気をかもし出してくれる。いわゆる、良質のミュージカ…

プラトーン/オリヴァー・ストーン

2008/3/2 裕福な家庭に育った青年が志願してベトナム戦争に赴き、軍人として、人間として成長するまでの物語。 プロットはシンプルなビルドゥング・ロマンスの形態をとっており、米兵のベトナム人に対する暴力、軍隊の士気の低下、制裁としての同士討ちなど…

羊をめぐる冒険/村上春樹

2008/2/4-3/1 柄谷行人は『村上春樹の風景』の中で、この作品について論じている。その主張によれば、ここで追い求められている「羊」とは、彼が論の中で展開する「アジア」「民権」に属する「アジア主義」の領域、「暴力」の領域であるとする。「アジア主義…