2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

僕の叔父さん 網野善彦/中沢新一

2008/1/21-2/27 著者と網野氏の交流をつづるとともに、全体が網野史学のエッセンスを紹介した内容ともなっている。 『無縁・公界・楽』の主張 著者によれば、この本を出した当時の網野氏の主張は以下のものであった。 人間の本質は自由意志であり、それが言…

細雪/市川崑

2008/2/23 この映画には、独特の浮遊感が漂っていると感じた。舞台は現実の大阪や京都であるのに、どこか別世界の出来事のような印象を受けるのだ。そう感じさせる原因について、次のように考えてみた。 映画の舞台は昭和一三年の大阪、公開は四五年後、昭和…

眺めのいい部屋/ジェームズ・アイヴォリー

2007/2/18-2/20 二〇世紀初頭の、イギリスの良家の娘と、彼女を取り巻く恋を描く。 主人公のルーシーは、旅先のフィレンツェで青年ジョージに出会い、恋仲になる。一方、故郷ではブルジョア階級のセシルと婚約する。周囲にはうそで取り繕い、自分の気持ちを…

映画女優/市川崑

2008/2/15-2/17 女優・田中絹代の半生を、戦前から戦後の日本映画の歴史と供に描く。 田中絹代が映画業界に入ってから、主役級の女優として活躍する歩みとともに、私生活における男性との関係にも言及している。後半は溝内健二との関係がプロットの中心とな…

現代中国文化探検/藤井省三

2008/2/2-2/11 近代・現代の中国の都市文化を、それらが表象された都市文化とともに解き明かしてゆく。 北京では、「単位」で構成される社会と、現代におけるその危機を述べる。 上海では、戦前に全盛期を誇ったオールド上海の様子とそれを表象するメディア…

現代思想入門/仲正昌樹 他

2007/12/30-2008/2/10 「フランクフルト学派」「ポスト構造主義」「現代リベラリズム」「カルチュラル・スタディーズ/ポストコロニアリズム」を主な思想家の学説とともに概説。 今後も思想関係の本を読む際に、辞書的に活用したい。

集中講義!日本の現代思想/仲正昌樹

2008/1/28-2/3 日本における現代思想の展開を戦後のマルクス主義の展開から、ポストモダン思想の受容、その後の現在の状況まで時系列的に追っていく。それぞれの時代の思想については、その都度該当箇所を参考にしたいが、最後に「現代思想」に対する著者の…

八重山諸島

数年前、はじめて島を訪れた時のことを思い返す。 旅に希望が持てなくなったあとの、しばらくぶりの旅だったと思う。なぜ旅に出ようと思ったのかは分からない。ただ、今ある日常をずらしてくれるのもが欲しかった。 島に渡ると、宿のマイクロバスが出迎えて…

方法としての東北/赤坂憲雄

2008/1/25-2/1 著者のひとつの立場として、明治以降の近代化の過程で東北に押し付けられた、「日本のふるさと」「米どころ」といったイメージを解体することがある。その反証として、東北は近代初期までは米どころではなく、主に稗やソバをを作っていたとい…