2018-01-01から1年間の記事一覧

十二月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 12/5 『モガンボ』 ジョン・フォード 12/9 『失われた時を求めて12 消え去ったアルベルチーヌ』 プルースト 12/12 『欲望という名の電車』 エリア・カザン 12/19 『イヴの総て』 ジョセフ・L・マンキウィッツ 12/21 アルヴ…

十一月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 11/8 『レベッカ』 アルフレッド・ヒッチコック 11/15 『君去りし後』 ジョン・クロムウェル 11/20 『紅の豚』 宮崎駿 11/22 『王様と私』 ウォルター・ラング 11/27 『美女と野獣』 ビル・コンドン

十月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 10/6 『百万長者と結婚する方法』 ジーン・ネグレスコ 10/13 『侏儒の言葉・西方の人』 芥川龍之介 10/21 『宝石2』 春山行夫 10/24 『血と砂』 ルーベン・マムーリアン 10/29 『もののけ姫』 宮崎駿

『少年愛の美学』 稲垣足穂

澁澤さんのエッセイによって知ったこの本。読む前は、内容や著者に対する予備知識がなかったため、タイトルから幻想的、耽美的な記述を想像していた。しかし、実際は「尻」「ヒップ」からひたすら連想が広がっていく、エロ・グロ・ナンセンスというか、お下…

九月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 9/1 『少年愛の美学』 稲垣足穂 9/10 『戦火のかなた』 ロベルト・ロッセリーニ 9/15 『ラ・ラ・ランド』 デイミアン・チャゼル 9/17 つげ義春コレクション ねじ式/夜が掴む 9/19 『神の道化師、フランチェスコ』 ロベルト・ロ…

『ひらがな日本美術史2』 橋本治 3/3

狩野正信筆「山水図」 現代の我々には、もう狩野派の絵がピンとこない。現代の我々は、「中国の山の中にいる浮世離れのした中国人の姿」を、人間のあり方の理想だとは思わないから、ここに確固として存在する″主題の明確さ″が理解出来ないのであるが、しかし…

『ひらがな日本美術史2』 橋本治 2/3

藤原豪信筆「花園天皇像」 似絵というのは、豪信の辺りで途絶えてしまった、王朝由来のリアリズムの流れなのである。「この人間の顔の描き方は肖像画としてウンヌン」などというつまらない詮索をしないで、素直に、その筆の美しさを見ればよいのだ――そうすれ…

『ひらがな日本美術史2』 橋本治 1/3

「平治物語絵巻」 優雅な王朝の時代にも″むくつけき男の欲望″はあった。それが隠されたまま存在していて、院政時代になって芽を出してくる。″戦争″とはそれである。″戦争=男の徳望″が当たり前の武士の時代になって、それを描く技術、あるいはそれを「当たり…

八月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 8/3 『無防備都市』 ロベルト・ロッセリーニ 8/11 生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。/東京ステーションギャラリー 8/25 『ひらがな日本美術史2』 橋本治 8/28 『ドイツ零年』 ロベルト・ロッセリーニ 8/31 至上の印象…

七月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 7/3 『スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望』 ジョージ・ルーカス 7/5 『ウンベルトD』 ヴィットリオ・デ・シーカ 『プレヴェール詩集』 7/7 『歴史学の名著30』 山内昌之 『リボンの騎士』 手塚治虫 7/8 『改訂版…

『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』 河合隼雄 村上春樹 2/2

物語に対する認識のズレ 一方で、二十年も前の対談のせいか、多少古さを感じる個所もある。たとえば、当時から「本離れ」はあったが、「物語」はまだ影響力があった。今の時代は、その「物語」の影響自体が低下している。 村上氏は、物語について次のように…

『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』 河合隼雄 村上春樹 1/2

以前読んだ『ハルキ・ムラカミと言葉の音楽』で、よく引用されていたこの本。数年前から、河合隼雄氏の著作に触れることが多いため、再読してみた。 国家の歴史と個人 対談が行われたのは1995年。オウム真理教による一連の事件があったころであり、直接…

六月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 6/3 『スローなブギにしてくれ』 藤田敏八 『名画への旅(6) 春の祭典―初期ルネサンス2』 6/6 『花咲ける騎士道』 クリスチャン・ジャック 6/9 『村上春樹、河合隼雄に会いにいく 』 6/11 『湘南爆走族』 山田大樹 6/13 『…

五月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 5/19 デザインあ展 in TOYAMA/富山県美術館 5/23 『火垂るの墓』 高畑勲 5/25 『世界服飾史』 『霧の波止場』 マルセル・カルネ 5/29 『英国王のスピーチ』 トム・フーパー

新ヴィーン楽派を聴いて

ここ数か月間、シェーンベルク、ベルク、ヴェーベルンといった、いわゆる「新ウィーン楽派」の音楽を聴いていた。 ごく簡単に印象を言えば、シェーンベルクは無調以前の「浄夜」はもちろんのこと、無調以降の音楽も耽美的で比較的たのしめる。ベルクは、劇的…

『イタリア・ルネサンスの文化1』 ブルクハルト 5/5

この本の時代背景 名著と呼ばれる『イタリア・ルネサンスの文化』であるが、議論を鵜呑みにしないためにも、この本の時代背景を意識しておく必要がある。これについては、訳者が適切に解説しているので、備忘までに引用しておく。 かれが、ヨーロッパにおけ…

『イタリア・ルネサンスの文化1』 ブルクハルト 4/5

この古代崇拝に関して、ブルクハルトは肯定・否定両面の考えを持っているようだ。否定面としては、次のような意見が述べられる。 (古典的古代を一面的に重んずる風潮にたいするピーコの批判を引用して)「われわれは、字句の末にこだわる者たちの学校にでは…

『イタリア・ルネサンスの文化1』 ブルクハルト 3/5

古代崇拝の時代 ルネサンスにおける古代の復活。これについても、ブルクハルトはその原因を明確に述べることはしない。著者は、当時の古代崇拝の様相を、どちらかといえば戯画化して語る。 個々の都市の歴史書は、昔から、真偽とりどりのローマとの関係や、…

『イタリア・ルネサンスの文化1』 ブルクハルト 2/5

ルネサンス期の「個人」 そのような社会の中で、個人もまた変化していく。ブルクハルトは直接書いてはいないが、当時のようなきつい社会を生き抜くために、社会を観察する眼が養われたこと、そのことが、個人の精神的な自立を促したことが語られている。 中…

『イタリア・ルネサンスの文化1』 ブルクハルト 1/5

人文科学の創始者と言われる著者が、イタリア・ルネサンス文化を論じた二巻構成の本。第一巻では、国家や個人を取り巻く状況から、古代崇拝が生まれるまでの状況が語られる。 「芸術作品としての国家」 当時の国家を取り巻く状況は、フランス、スペインの脅…

四月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 4/1 『イタリア・ルネサンスの文化1』 ブルクハルト 4/7 『どろろ』 手塚治虫 4/10 『トリスタンとイゾルデ』 バイロイト音楽祭より ダニエル・バレンボイム指揮 4/12 『故郷』 山田洋次 4/18 『陽は昇る』 マルセル・カルネ …

『ウンベルト・サバ詩集』 2/2

「拡張現実」という言葉がある。どちらかといえば、情報テクノロジーや、その発想を基にした批評などでよく聞かれる言葉だ。 サバの詩集を読み、私が思い浮かべたのはこの「拡張現実」という概念だった。 彼が歌ったトリエステの景色は、偽物ではない。詩人…

『ウンベルト・サバ詩集』 1/2

「もし今日、トリエステに着いて……なにげなく選んだ道を、サバとともに歩くことができたなら……」 数年前の夏のある日、私は所用でトリエステに行く機会をもった。……途中、道ですれちがう人たちに、銀行や税関の重々しい建物に、手摺のついた細くて急な石畳の…

『恋愛のディスクール・断章』 ロラン・バルト 2/2

ところで、恋愛のキーワードがアルファベット順に、無機質に並べられたこの本の構成は、例えば十二音列で作られた、無調音楽を思わせるところが無いだろうか? 音楽を愛したバルトにとって、支配する調性のない音楽から得たインスピレーションは確実にあった…

『恋愛のディスクール・断章』 ロラン・バルト 1/2

「嫉妬」「憔悴」あるいは「追憶」。このような、男女間の恋愛について回る感情を、「ウェルテル」はじめ、 古今の文学作品を渉猟しながら分析したこの本。 一見、作者ロラン・バルトの体験が色濃く反映されているように思えるし、出版された当時は、そのよ…

三月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 3/1 『腹話術 (ヨウスケの奇妙な世界 PART 1) 』 高橋葉介 3/3 『海の牙』 ルネ・クレマン 3/6 『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』 寺本幸代 3/10 ビルディング・ロマンス−現代譚(ばなし)を紡ぐ−…

二月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 2/1 『ルパン三世 カリオストロの城』 宮崎駿 2/3 『天空の城ラピュタ』 宮崎駿 2/12 所蔵 名品展 尾形光琳 国宝「紅白梅図屏風」/MOA美術館 2/18 『萩原朔太郎詩集』

萩原朔太郎詩集

詩は頭で理解するものではない。一人の詩人のすべての作品が、読者にとって同じだけの魅力をもつとは限らない。 それなりに詩に触れたことのある人間にとっては分かりきったことだろうが、それでも詩集を紐解く際には、想像以上の感銘を期待してしまうのが人…

一月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 1/2 『円地文子訳 源氏物語 三』 1/17 『オルフェ』 ジャン・コクトー 1/20 『日出処の天子』 山岸凉子 1/27 『母性のディストピア』 宇野常寛 1/30 『北ホテル』 マルセル・カルネ