2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

八月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 8/3 『チェーホフ・ユモレスカ―傑作短編集<1>』 8/7 『ゴルゴダの丘』 ジュリアン・デュヴィヴィエ 8/12 『パンツを脱いだサル―ヒトは、どうして生きていくのか』 栗本慎一郎 8/17 『美しい鉱物―レアメタルから宝石まで鉱物…

24年後の世界で −「パンサル」の思想 4/5

2005年に出た『パンツを脱いだサル』は「パンサル」シリーズの完結編。『はいた』(新装版)でも、栗本氏はこの本を参照してほしいと述べていた(逆に、1988年に出た『パンツを捨てるサル』には全く触れていない)。 内容としては、「パンサル」の考…

80年代の新進理論 −「パンサル」の思想 3/5

そして、上述した個々の内容を包括的に見れば、次のような考えかたが導かれるだろう。栗本氏自身の思想はここからさらに発展するわけだから、これらは栗本理論というより「パンサル理論」とでも言うべきものかもしれない。 ・ポランニーの言う原始社会や古代…

聖なる文学、ホムンクルスとしての機械 −「パンサル」の思想 2/5

特に、以下で引用する文章を読んだときは、思わず渋澤龍彦氏のことを連想した。著者も、この本で渋澤氏のことに触れ、尊敬をもって彼の言動を引用している。サドやバタイユを翻訳した渋澤氏のこと、栗本氏も一定の示唆を受けていることは間違いない。 ・文学…

「パンサル」の思想 1/5

今年の春から夏にかけて、栗本慎一郎氏の「パンサル」シリーズ(『パンツをはいたサル』『パンツを脱いだサル』)を呼んだ。栗本氏というと、80年代や90年代によくメディアに出ていて、学者というよりはタレントとしての印象が強かった。 だが、もともと…

チェーホフ、その人間観 −『チェーホフを楽しむために』 阿刀田高 3/3

チェーホフの人間観を探る目的で読み始めたこの本だったが、短編小説家である阿刀田氏らしく、チェーホフの創作のテクニックも紹介している。 読むだけではなかなか思いつかない、書き手ならではの視点で興味深かったので、いくつか引用しておく。 ・時間の…