2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ヘカテ/ダニエル・シュミット

2007/11/27 北アフリカに赴任したフランスの外交官の青年は、その地である人妻に恋をする。彼は恋に夢中になるあまり、生活を破壊し、ついには外交官の職を追われる。数年後、彼は出世し、シベリアの地で外交官として活躍しているが、そこに再び彼女が現れ、…

城 夢想と現実のモニュメント/澁澤龍彦

2007/10/29-11/26 「閉じこもることによって力を凝集する、――これがおそらく、城というものの本質的な機能ではないかと私には思われる。城の内部に我が身を限定するのは、一見したところ、その欲望の範囲をせまく限ることのようにも思われるだろう。しかしな…

トリマルキオの饗宴/青柳正規

2007/10/28-11/23 ローマ時代の小説『サテュリコン』中の有名な場面である『トリマルキオの饗宴』の模様を、当時の資料を駆使し詳しく解説した一冊。当時の饗宴の役割や、出された食事、またトリマルキオが属した解放奴隷という身分など、社会史的な記述が多…

好き好き大好き超愛してる。/舞城王太郎

2007/11/10-11/17 「「私も治のことが好きだった」と柿緒は言って、僕も、そして柿緒も、それが過去形で言われたことにすぐ気付く。その気付きは稲光みたいに僕と柿緒のその瞬間を照らす。 僕は「どうして過去形なんだよ」と軽くツッコみたかった。でもここ…

ラ・パロマ/ダニエル・シュミット

2007/11/16 娼婦ラ・パロマと、彼女に恋をする青年貴族イジドール、彼の友人ラウルの人間模様を描いた物語。 三人の恋が話の中心となるのだが、その恋は純粋とも、退廃的とも、様式的とも見え、描き方は一言では表現できない。あるいは通常の映画の恋の単純…

今宵かぎりは…/ダニエル・シュミット

2007/11/14 チェコのある貴族の屋敷では、年に一回主人と召使の役割が入れ替わる晩がある。この映画ではその晩餐の様子を描いている。召使たちが見ている前で、貴族たちは次々と出し物を披露していく。 出し物のBGMとして『白鳥』や『タイスの瞑想曲』が…

マルクスる?/木暮太一

2007/11/2-11/11 マルクス経済学の概念を平易に解説した本。『価値』『資本』等の概念や、恐慌のメカニズムなど、基本となる枠組みの理解に役立った。 『価値』 『価値』はマルクス経済学の中でも特に基礎となる概念であり、この本の中でも分かりやすく紹介…

天使の王国/浅羽通明

2007/11/3-11/10 天使としてのおたく 「学校社会による汎正解化によって、「おたく」は世界の傍観者と化した。彼の眼からはすべてが俯瞰されるが、彼自身はすでに世界の中にはいない。そう『ベルリン・天使の詩』の天使たちのように。「おたく」は「おたく」…