人文科学

十二月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 12/1 『素顔の印象派』 バーナード・デンヴァー 12/2 『ドイツ詩を読む愉しみ―ゲーテからブレヒトまで』 森泉朋子 12/14 ハイレッド・センター: 「直接行動」の軌跡展/名古屋市美術館 『忠臣蔵(…

十一月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 11/20 コレクション名作展?−近代日本洋画/メナード美術館 『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』 ジョン・ウー 『近代絵画史―ゴヤからモンドリアンまで (下)』 高階秀爾 11/24 『プラトン入門』 …

六月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 6/6 『都市と消費とディズニーの夢 ショッピングモーライゼーションの時代』 速水健朗 6/22 『暇と退屈の倫理学』 國分功一郎 都市と消費とディズニーの夢 ショッピングモーライゼーションの時代 (o…

一月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 1/12 『カルメン故郷に帰る』 木下惠介 1/24 『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』 山中貞雄 1/25 『タバコロード』 ジョン・フォード 1/26 『ヴァルター・ベンヤミン――「危機」の時代の思想家を読む』 仲正…

十二月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 12/1 『大阪アースダイバー』 中沢 新一 12/19 『お早よう』 小津安二郎 12/12 『髪結新三』『春興鏡獅子』 中村勘三郎(主演) 12/25 『つくられた桂離宮神話』 井上章一お早よう [DVD]出版社/メー…

十月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 10/6 『天使が通る』(再読) 浅田彰 島田雅彦 10/12 『拝啓天皇陛下様』 野村芳太郎 10/13 『こころの眼―写真をめぐるエセー』 アンリ カルティエ=ブレッソン 10/14 『今こそアーレントを読み直す…

『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(上)』

2012/9/23読了 人生論 ・経験はいつわるものではない。経験にもとづくわれわれの判断が誤るのだ。 ・健全な霊魂というものがあるとすれば、それは健全な肉体にやどる。 ・感覚を通過しない精神的物質は空疎である。奇跡や魔法や錬金術は、害のほかになんら心…

『精神の危機』 ヴァレリー

2012/9/9読了 1910〜40年代に発表された論文を収めた内容であるが、社会、経済、文明、政治に対する洞察の射程は、間違いなく現在にまで及んでいる。 過剰な商品・サーヴィス・メディア、明らかな知性の衰退、欧州の地位の低下、先進国における独裁的政治家…

『群衆の中の芸術家』 阿部良雄

2012/7/7読了 批評家ボードレール 新進の批評家ボードレールの新しさは、その目的とするものにある。すなわち、当時芸術の享受者となっていたブルジョワ大衆を啓蒙することが、彼の活動の目的であった。それは、当時の芸術界を支配していた「ブルジョワ芸術…

四月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 4/15 What's an Icon of Style? 時代を彩るファッション/名古屋ボストン美術館 4/22 『フーコー入門』 中山元 『フォークナー短編集』 4/24 『蒲田行進曲』 深作欣二フォークナー短編集 (新潮文庫)…

一月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 1/2 『はじめての言語ゲーム』 橋爪大三郎 1/21 『紀ノ川』 中村登 1/22 『楽園への道』 バルガス・リョサ楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)作者: マリオ・バルガス=リョサ,田村さと…

『ヘーゲル・大人のなりかた』 西研

6年前に読んだ本の再読。 再び読もうと思ったきっかけは、今年の4月、NHKの番組での氏の発言からだった。 番組はニーチェの『ツァラトゥストラ』を紹介する内容であったが、その中の「超人」という概念について、氏は「超ポジティブ人間」、同じく出演してい…

十一月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 11/5 『続ものぐさ精神分析』 岸田透 11/6 『悪人』 李相日 11/15 『ハイネ詩集』 11/17 コレクション名作展/メナード美術館 11/20 生誕100年 ジャクソン・ポロック展/愛知県美術館 『ヨーロッパ…

『リトル・ピープルの時代』 宇野常寛

2011/10/22鑑賞 ・リトル・ピープル=「歴史から切断された人々の、自らの人生を意味づけようとする欲望」。そして、村上春樹が「今、一番恐ろしいと思う」ものが、リトル・ピープルの及ぼすモーメント=「小さな物語」への依存=システムの生む「悪」となる…

『ハルキ・ムラカミと言葉の音楽』 ジェイ・ルービン

2011/9/16読了 村上は第一作を全部「理解」して書いていたわけではなかったにせよ、自分がしていることはわかっていた。心の中にある「もうひとつの世界」から不意に浮上してくる、うろ覚えの記憶やわかりかけていたイメージの中で探索をしているのだ。……合…

八月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 8/2 『和声と楽式のアナリーゼ』 島岡譲 棟方志功 祈りと旅 愛知県美術館 土着的な力強さのある作品のほか、手仕事的な小品など 8/4 『白鳥の湖』 ミラノ・スカラ座バレエ団 8/5 『ドン・キホーテの…

『永遠平和のために 他』 イマヌエル・カント

2011/3/5読了 各論文で主張される内容は次の通り。 「啓蒙とは何か」 ・啓蒙は「人間が、みずから招いた未成年の状態から抜けでること。未成年の状態とは、他人の指示を仰がなければ自分の理性を使うことができないことである。(10) ・人間性の根本的な規定…

『社会契約論』 ジャン・ジャック・ルソー

2010/10/30読了 中山元氏翻訳作品の二作目。 社会契約の定義 「どうすれば共同の力のすべてをもって、それぞれの成員の人格と財産を守り、保護できる結合の形式をみいだすことができるだろうか。この結合において、各人はすべての人々と結びつきながら、しか…

『人間不平等起源論』 ジャン・ジャック・ルソー

2010/10/9読了 今年読もうと計画していた、中山元氏翻訳作品群の一作目。 不平等が発生する前の人間像として「野生人」像を提示した本書であるが、フランス文学の伝統に沿った、人間研究の書といった趣もある。以下のような内容の主張がなされている。 ・人…

六月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 6/3 「パリ・オペラ座バレエ『バレエ・リュス・プログラム』」 「ばらの精」マチアス・エイマン、イザベル・シアラヴォラ 「牧神の午後」ニコラ・ル・リッシュ、エミリー・コゼット 「三角帽子」ジ…

『現象学入門』 竹田青嗣

2009/9/13読了 現象学的還元とは 現象学的「還元」とは「事象それ自身に立ち戻ることだ」とか、「純粋意識」の場面に立つことだ、などという言い方がある。これらの言い方はまったく誤りではないにせよ、極めてあいまいであり、かつ誤解を呼びやすいものだ。…

『古寺巡礼』 和辻哲郎

2009/9/14読了 『万葉集』の世界と仏教美術の世界とは全然食い違っている。それは単に抒情詩と造形美術との差異ではない。趣味や要求や願望や、要するに心情の根本をなすものの差異である。一つの時代にかくのごとき二つの世界があるということは、現在目前…

『先祖の話』 柳田國男

2009/8/13読了 日本人にとって死者の魂とは、舶来の仏教思想のように天高く、あるいは地深くにあるものではなく、身近な山の上から私たちの生活を見下ろしているものであること、そして盆や正月とは、その霊を迎えに行き、そして送り届けるものであることが…

リアルのゆくえ/大塚英志・東浩紀

2001年から2008年の秋葉原連続殺傷事件を受けてまでの二人の対談がつづられています。 社会を扱った箇所では、東氏の「社会の工学化」が話題の中心となっており、『情報社会論』や『自由を考える』と共通する主張が述べられています。 いっぽう、人文科学的…

ゼロ年代の想像力/宇野常寛

2008/9/7-9/16 ゼロ年代とはどういう時代か 「重要なのはその物語の内実ではない、態度=あり方なのだ。ゼロ年代における物語回帰の問題点はむしろ「人間は何か(の価値、物語)選ばなければいけないのだから、信じたいものを信じればいいのだ」という「あえ…

謎とき 村上春樹/石原千秋

2008/8/30-9/14 「「僕」がこの「手記」で一番隠したかったのはこのことだった。「僕」と鼠の友情物語は、実は「僕」と「小指のない女の子」の物語を内包しながら、「僕」と鼠と「小指のない女の子」との三人の物語に転換していたのだ。そして、「僕」が勝っ…

不可能性の時代/大澤真幸

2008/7/5-7/19 〈不可能性〉とは何か 「〈不可能性〉とは、〈他者〉のことではないか。人は、〈他者〉を求めている。と同時に、〈他者〉と関係することができす、〈他者〉を恐れてもいる。求められると同時に、忌避もされているこの〈他者〉こそ、〈不可能性…

テヅカ・イズ・デッド/伊藤剛

2008/6/28-7/11 「キャラ」と「キャラクター」 筆者はこの二つを次のように定義している。 キャラ:「多くの場合、比較的に簡単な線画を基本とした図像で描かれ、固有名で名指しされることによって(あるいは、それを期待させることによって)、「人格・のよ…

カーニヴァル化する社会/鈴木謙介

2008/5/20-5/31 この本のテーマである「カーニヴァル化」について、著者は次のように述べている。 「蓄積や一貫性を維持することが困難な後期近代においては、共同体への感情は、アドホックな、個人的な選択の帰結から生じるもの以外ではあり得なくなる。そ…

批評の精神分析/東浩紀

2008/3/31-4/12 著者のここ数年の対談を集めたものだが、近年の著書に対する識者の反応と、それに対するコメントがおもしろい。 『動物化するポストモダン』については、現代の人間は動物的・人間的な二つの面で生活していることが改めて確認され、社会全体…