2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『ヴィーナスの誕生』視覚文化への招待/岡田温司

2007/4/15-4/24 「ウィントとパノフスキーの解釈は、いわゆる「双子のヴィーナス」にまつわる新プラトン主義の理論にかかわるもので、ボッティチェッリの二枚のヴィーナスをこの理論に結びつけるという点で、基本的に一致しています。プラトンにさかのぼり、…

沈める滝/三島由紀夫

2007/3/25-4/23 「女は理由もなく、ちょっと歯を露わすだけの、持ち前の吝しむような微笑をした。昇に対してもう自信をもっているこんな微笑が、彼にいつもながらの抽象的な喜び、「愛されている」という思い込みから来る女の心理的な自閉状態を外からゆっく…

歩きながら考える/鶴見良行

2007/4/22読了 「こんど出した『マングローブの沼地で』でも書いたことですが、つまり日本近代が持っていた、というより、むしろ日本史がもっていたと言ってもいいのですが、大きなものに憧れるという姿勢をどこかでこわしたいんです。日本が一つの国である…

あこがれの系譜

あこがれの系譜とでも言うべきものを辿っていくと、高級ホテルや劇場、美術館といった場所に行き着く。それらの場所で感じられるものを、あえて表現するとなれば「幸せな幼少期の記憶」とでも呼ぶべきものであろうか。私が高級ホテルや美術館を好きな理由は…

新約聖書を知っていますか/阿刀田高

2007/3/24-4/13 「本当に神の子であるということは、どういうことなのか。だれにもわからない。あえて言うならば、それは、神の子であると強く、疑いなく確信することではあるまいか。少なくとも、この二つには大差がないように私には思えてならない。(中略…

アメリカが見たカストロ/カストロ・人生と革命を語る(BS世界のドキュメンタリー

2007/4/1-4/8視聴 「何が普遍的に正しいかを理解せずに、どう生きていけるのか。それでは世界は救われない。我々の経験したことが、良い先例として広まることを望んでいる。著作権も特許もいらない。その代わり、我々は誇りを手にすることだろう。世の中に役…

アレント・公共性の復権/川崎修

2007/3/11-4/7 「アレントによれば、東南欧における少数民族保護の失敗に終わった試みは、国民国家の機能をきわめて明瞭に表現したという。すなわち、「国家の市民たることとナショナルな帰属とは不可分であること、同じナショナルな起源を持つ者のみが法律…