2010-01-01から1年間の記事一覧

四月に読んだ本・観た映画

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 4/1 『ドイツ文学案内』 手塚 富雄・神品 芳夫 4/15 『紫式部日記』 4/22 『憂鬱と官能を教えた学校』 菊地 成孔・大谷 能生紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビ…

『ザ・スパイダースのバリ島珍道中』 西河克己

2010/4/15鑑賞 映画が製作された68年当時の、香港やインドネシアの表象のされ方に興味があり、この映画を鑑賞しようと思った。 鑑賞後の印象として、「60年代」という時代のイメージに比べ、その映像は思いのほか新しいものと感じた。例えばこれが、80年代前…

『世界』 ジャ・ジャンクー

2010/4/11鑑賞 「世界」というテーマパークで働く人びとの日常を、低い視点でえがく。 テーマパークでそれぞれの役割をこなすときの皮相さに比べ、例えば彼らの恋愛模様や、ロシア人従業員との交流、携帯電話でのやりとりが、よりいっそう現実の重みをもって…

[古典] [映画]三月に読んだ本・観た映画

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 3/1 『伊勢物語』 3/20 『バッハ演奏と指導のハンドブック』 クラウディオ・ソアレス 3/23 『夜行列車』 イェジー・カヴァレロヴィチ ヴァイブの響きとライティングの美しさ、医師の冤罪。伊勢物語 …

アンジェイ・ワイダ特集

2月から3月初めにかけて以下4作品を鑑賞した。 『灰とダイヤモンド』 ドイツが降伏した日の、ポーランドのある都市の一夜。殺人と酒場、政治家と酔っぱらい。 『夜の終りに』 50年代のワルシャワ。「新風俗」的な若者の夜から朝まで。公開された時期も近い、…

夜の雨、春のぬくもり

ベランダに出て煙草を吸う。 雨の中、春のぬくもりに包み込まれる。 もう冬の終わりではない。春の始まりの、空気のあたたかさ。 長いあいだ、春は好きになれなかった。分かりやすい性格の冬にくらべ、春のあいまいさは私を不安にさせた。 そのためか、春の…

第366回定期演奏会 早春/名古屋フィルハーモニー交響楽団

2010/2/27 ラヴェル:スペイン狂詩曲 伝統的な西欧の作曲技法に、マラゲーニャやハバネラなど、スペインのリズムを取り入れた内容となる。ただし、あくまで「スペイン風」であり、土着の生々しい印象は少ない。 ルトスワフスキ:オーボエとハープのための二…

[芸術] [エッセイ]二月に読んだ本・観た映画

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 2/6 『ブレードランナーの未来世紀』 町山智浩 2/9 『東京大学のアルバート・アイラー・歴史編』 菊地成孔・大谷能生 2/11 『音の棲むところ3』 宮沢和史 2/28 『日本の書物への感謝』 四方田犬彦 …

冬の終わりの旅

昨夜の雨があがり、日ざしがまぶしい。もう冬も終わるのだろう。 毎年この季節になると、きまって沖縄にかよっていた時期があった。空港に降りたち、なま暖かい空気にふれる。その感覚が、わたしに春の訪れをつげていた。 昨年は、何年かぶりに沖縄行きをや…

『いつも香港を見つめて』 四方田犬彦 也斯

2010/1/20読了 (揚州チャーハンの専売特許問題に関連し)揚州チャーハンが最も多く食べられているこの香港では、この話は冗談だと思われています。香港は無意識のうちに多くの中国の伝統的な料理法を保存しているのかもしれませんが、同時にまた伝統という…

一月に読んだ本・観た映画

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 1/10 『晩年』 太宰治 1/13 『HELP!四人はアイドル』 リチャード・レスター 『夜と霧』 アラン・レネ 1/15 『ビートルズ ファースト・ライヴ・イン・アメリカ』 1/19 『暗黒街』 山本嘉次郎 1/…

第365回定期演奏会 冬の日の幻想/名古屋フィルハーモニー交響楽団

2010/1/23 武満徹:ウィンター 管楽器を吹く空気音を音色として扱うなど、オーケストラの楽器を和楽器のように使う面白さがある。現代音楽ではあるが、日本の伝統音楽を取り入れているせいか、直観的な難解さはなく、心地よく鑑賞出来た。 R・シュトラウス:…

『スプートニクの恋人』 村上春樹

2010/1/6読了 フェリーが島に着いたのは七時過ぎだった。日差しの激しさはさすがに盛りを越えていたが、空は依然として明るく、夏の光はむしろその鮮やかさを増していた、港の建物の白い壁にまるで表札みたいに、島の名前が黒々と巨大な字で書いてあった。船…

『曲説フランス文学』 渡辺一夫

2009/12/23読了 中世の恋愛詩誕生に関連して 獣類の性行為と人間のそれとの間には、神から見れば大差はないのでしょうが、人間的な見地よりしますと、当事者の心理的現象には、獣類にはないかもしれない複雑な様相(悲・喜・信念・懐疑・安心・不安)が具わ…