2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

サンクト・ペテルブルグ/小町文雄

2007/2/17-2/24 「自国の文化と生活の伝統を重視し、絵画を通した国民啓蒙を目指した移動展覧派が結成されたころは、すでに農奴解放例が出されており、農民啓蒙をめざすナロードニキ運動のグループが活動するなど、社会改革の意識と運動はかなり広がっていた…

記憶の遠近法/澁澤龍彦

2007/2/7-2/24 「幼少時の思い出は、なにか暗い闇の中に一点、ぼうっと明るんだ、にぎやかな光の空間があって、それを遠くから見ているような感覚を私にいだかせる。それは一種の祭りの空間であって、そこに自分も参加しているはずなのだ。ハーゲンベック動…

野良犬/黒澤明

2007/2/17 日本映画に刑事もののジャンルを確立したと言われる映画。秀逸なのは、主人公が盗まれたピストルを追い求め、東京中をさまよう場面。東京の繁華街や盛り場を歩き回る主人公を、当時の流行音楽に乗せて描いている。仮に私が当時生きていたとして、…

若きウェルテルの悩み/ゲーテ

2007/2/17読了 「忍耐しろ!忍耐を!そのうちにもっとよくなるだろう。まったく君のいうとおりだったよ。毎日世間の人間のあいだを追いまわされて、かれらがすること、またそのする仕方を見るようになって以来、私は前よりずっと自分と仲がよくなった。たし…

隠喩としての建築/柄谷行人

2007/2/11-2/17 「数学者にとって、ゲーデルの証明は、モリス・クラインがいうように絶望的なものだろうか。実際の数学の発展は、数学の基礎などに関知しない“応用数学者”によってなされており、また数学の発展は、実はむしろ“非合理的”になされてきたのであ…

スペードの女王/パリ・オペラ座

2007/2/9〜2/11 ゲルマン・・・ウラディーミル・ガルージン プーシキン原作の小説をチャイコフスキー作曲によりオペラ化した作品。 ストーリーはすでに知っており、また親しみのあるアリアがなかったこともあり、どこか間延びした印象を受けてしまった。

一九〇〇年頃のベルリンの幼年時代/ベンヤミン

2007/2/3-2/9 「私が自宅のロッジアで出会う午前は、すでにずっと以前から午前だったので、ほかのどこで出会う午前よりも、もっと午前そのものであるように思われた。私がここで午前が来るのを待つということは、決してありえなかった。常に午前のほうが、す…

目覚める大国インド(BS世界のドキュメンタリー)

2007/2/4〜8視聴 インドの今、富裕層や貧困層の生活、映画俳優、社会活動家らの生活を追ったドキュメンタリー。 「ノンストップ!インディアンドリーム」 「密着 ボリウッドスターの日々」 「潜入 新薬開発の舞台裏」

エイズの時代(BS世界のドキュメンタリー)

2007/2/5〜7視聴 エイズの発生からその流行と社会の動向、ワクチン療法による克服までを追ったドキュメンタリー。エイズは生物学的である以上に、非常に政治的な病気であることを痛感した。「誰も自分の国が麻薬常習者や同性愛者であふれているとは認めたく…

私のプリニウス/澁澤龍彦

2007/2/6読了 「なんといってもアネモネの魅力の第一は、私の思うのに、風を意味するギリシア語アネモスから由来している、その言葉のひびきの美しさであろう。(中略)なぜアネモネがとくに風と関係づけられるようになったのか、神話の説明を読んでもよく分…

荒野へ/ジョン・クラカワー

2007/1/21〜2/4 「ところが、マッカンドレスが彼の世界に飛び込んできて、老人がこつこつ築いてきた孤塁は根底から崩されたのである。マッカンドレスといっしょにいることは楽しかったが、彼らの間に芽生えはじめた友情はまた、自分がいかに孤独であったかを…

新南島風土記/新川明

2007/2/3読了 「多くの旅行者が竹富島を訪れて、初めにかいたような石垣や家並みや、石庭を言葉をきわめてほめると、島の人たちは「どうしてこの島がこんなに美しく見えるのでしょうか」と純朴な顔に面映そうな微笑をうかべて反問してくるのにぶつかるが、島…