2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

七月に鑑賞した作品

7/3 『菅原伝授手習鑑・道明寺』 片岡仁左衛門、坂東玉三郎、中村歌六ほか 7/7 『男はつらいよ 私の寅さん』 山田洋次 7/8 『廃墟で歌う天使―ベンヤミン『複製技術時代の芸術作品』を読み直す』 遠藤薫 7/13 『寅さん、あなたが愛される理由』 山本晋也/渡…

『浄瑠璃を読もう』橋本治 4/4

これはもう「文学」でしかない『冥途の飛脚』 忠兵衛の描かれ方はそのようにリアルで、ステロタイプな和事の演技で片付くようなものではないし、近松門左衛門は「すべてを言葉で語り尽してしまうような特権的な作者」でもあるから、自分の描いた詞章で人形が…

『浄瑠璃を読もう』橋本治 3/3

『菅原伝授手習鑑』と躍動する現実 「安井の浜」は、「今まで」と「これから」をつなぐ程度の短い場面で、たいして重要なものではない。観客は、「なるほどね、そうなんだ」とか、「ああ、可哀想に」と言っていればいい程度のものだが、それはあくまでも、当…

『浄瑠璃を読もう』橋本治 2/4

『義経千本桜』と歴史を我等に 現実に桜はないが、理念として桜はある――これが『義経千本桜』である。つまり、ここには「満開の桜」とイコールになりうる「観念の桜」があるのである。言うまでもない、源義経その人である。『義経千本桜』は、実は「義経=千…

『浄瑠璃を読もう』橋本治 1/4

浄瑠璃のストーリーを理解するためには、江戸の庶民の考え方をまず理解しなければならない、というのが著者の基本的な考え方。ただ、著者は義太夫節や台詞の格好良さが好きで、人形浄瑠璃を鑑賞しているとのこと。 私も歌舞伎に関してはそれなりの鑑賞経験が…