2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

楽しい古事記/阿刀田高

2007/6/16-6/30 『古事記』の内容の紹介や、著者なりの解釈を記したエッセイ。古事記は以前、福永武彦訳で読んだことがあったが、全体の流れがいまいち理解できなかった。それを補足するものとして、このエッセイを読んでみた。 海幸彦山幸彦 以前読んだとき…

暗黒のメルヘン/澁澤龍彦・編

2007/5/19-6/29 現代日本文学の幻想小説を編んだアンソロジー。 編集後記において、編者である澁澤は次のように言っている。「幻想的な物語のリアリティーを保証するのは、極度に人工的なスタイル以外にはないとさえ考えている。スタイルさえ面白ければ、そ…

二時間の印象派/西岡文彦

2007/6/2-6/17 印象派の父・モネは何を描こうとしたか 「なぜならば、彼が画家を志したのは、ブーダンによって「描かれた絵」を見てのことではなく、ブーダンによって「描かれつつある絵」を見てのことだからである。すでに「描かれた絵」の完成された美しさ…

『パサージュ論』熟読玩味/鹿島茂

2007/6/3-6/16 難解なベンヤミンの『パサージュ論』を解説した本。著者によれば、ベンヤミンが『パサージュ論』において試みた歴史学とは「集団の夢」が出現する瞬間を捉えることである。そしてこの集団の夢とは、アルカイックなものの記憶やノスタルジーを…

大人は判ってくれない/トリュフォー

2007/6/16 「トリュフォーの少年時代を描いた自伝的映画」と紹介される作品。映像や音楽が、少年時代の持つみずみずしさに充ちている。また演出かは判らないが、画面全体が軽く霧がかっているように見えた。私にはこれが、幼年期の記憶の、ノスタルジーを持…

好奇心紀行/阿刀田高

2007/5/14-6/9 「私自身は比較的繁く図書館を利用するほうだろう。小説家は仕事がら自分の周辺に蔵書をたくさん抱え込んでいるけれど、昨今は住宅事情に限界があって、なにもかも手もとに置くというわけにはいかない。 雑誌類について言えば、私は目次だけを…

処女の泉/ベルイマン

2007/6/3-6/8 中世の民間信仰とキリスト教が混在するスウェーデンが舞台。豪農の娘カーリンは教会に行く道すがら、三人の乞食に暴行され、殺される。乞食たちは豪農の家に宿を求めに行くが、所持品から娘を殺した犯人であることが判明、父親に殺される。次の…

生き延びるためのラカン/斎藤環

2007/5/26-6/2 ラカンにおける「言葉」 ラカン理論の基礎概念をわかりやすく紹介した本。さまざまな理論を紹介する中でも、著者は特にラカン理論における「言葉」の重要性を強調している。 「この本は、言葉と心の関係についての話からはじまった。つまり、…