2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

八月に読んだ本・観た映画

ブログに書いた作品のほか、八月は以下の作品を鑑賞した。 8/14 『蜻蛉日記』(抄) 8/19 『海と毒薬』 熊井啓 8/22 『李香蘭』 浅利慶太蜻蛉日記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)作者: 角川書店出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発…

『アデン、アラビア』 ポール・ニザン

2009/8/7読了 理解しておくべきなのはこういうことだ。つまりアデンは、僕たちの母なるヨーロッパのぎゅっと凝縮されたイメージなのである、ここは圧縮されたヨーロッパなのだ。縦五マイル横三マイルという流刑地のように狭い空間に寄り集まった数百のヨーロ…

『先祖の話』 柳田國男

2009/8/13読了 日本人にとって死者の魂とは、舶来の仏教思想のように天高く、あるいは地深くにあるものではなく、身近な山の上から私たちの生活を見下ろしているものであること、そして盆や正月とは、その霊を迎えに行き、そして送り届けるものであることが…

『オンリー・イエスタデイ』 F.L.アレン

2009/8/9読了 1920年代記として著名な本書であるが、時代の客観的描写よりはむしろ、その時代の道徳律の変遷に力点が注がれている。そして、この著書からは、繁栄の時代とされる1920年代に通奏低音として流れる、幻滅や諦念や刹那的な感情が感じられる。 人…

『1Q84』 村上春樹

2009/7/17読了 彼にとって物語とは? 物語の森では、どれだけ物事の関連性が明らかになったところで、明快な解答が与えられることはまずない。そこが数学との違いだ。物語の役目は、おおまかな言い方をすれば、ひとつの問題を別のかたちに置き換えることであ…