2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

六月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 6/4 『さらば箱船』 寺山修司 『リルケ詩集』 6/8 『完全な遊戯』 舛田利雄 6/11 『荻須高徳展 憧れのパリ・煌めきのベネチア』 松坂屋美術館 6/25 『ラヴェルのピアノ曲』 エレーヌ ジュルダン‐モ…

『THE CHET BAKER QUARTET WITH RUSS FREEMAN』 

ウエストコースト・ジャズを代表するひとりである、チェット・ベイカーのこのアルバムは、いわゆる超絶技巧や作曲の斬新さを見せつける作品ではない。むしろ純粋にスイングに身をゆだねられる心地よさをもっており、晩春や初夏のような季節には何度でも聴き…

『斜線の旅』 管啓次郎

2011/5/28読了 ところが、たとえばオーストラリアを知りエミリーの絵画を知ることに、どんな意味があるのか、何の役に立つのかと疑問を抱く人もいる。「美術って何か役に立つんですかあ」と何の屈託もなく口走る学生たちには、いまも毎年直面する。何度でも…

『1Q84 Book3』 村上春樹

2011/5/13読了 村上氏がその作品のなかで、継続して描いてきたものとして、「現実との対峙」があると思う。本作をその視点で見ると、過去の作品からつぎのような流れが見て取れるだろう。 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』では、現実は拒否さ…

『シューベルト:ピアノ・ソナタ第14番』 内田光子

シューベルトはロマン派の嚆矢といわれる作曲家である。このピアノ・ソナタを聴けばその理由が分かる。古典派の均整のなかから、ロマン派的な感情の揺らぎが生まれる過程が見て取れるだろう。 第一楽章、最初の主題は短調で始まる。しっかりと構成された古典…