2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

二月に鑑賞した作品

2/2 『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』 山田洋次 2/3 『ルネサンスの光と闇』 高階秀爾 2/7 『男はつらいよ 葛飾立志篇』 山田洋次 2/9 『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』 山田洋次 2/13 『オール・ユー・ニード・イズ・キル』 ダグ・ライマン 2/15 『0課…

こころへのセンサーを研ぎ澄ませる 『失われた時を求めて12 消え去ったアルベルチーヌ』 4/4

『失われた時を求めて』は「意識の流れ」を表現したと言われる作品だけあって、こころの動きにかかわる微妙な表現には、何度もはっとさせられる。 物語の本筋からはずれるが、次に引用するような表現は、なかなかお目にかかれるものではない。 私が自分に発…

想いの消えゆく過程を記録する 『失われた時を求めて12 消え去ったアルベルチーヌ』 3/4

ここまでであれば『消え去ったアルベルチーヌ』は、ただの恋愛心理小説の名作に過ぎないかも知れない。しかし、小説の後半、物語は別の様相を帯びる。主人公のアルベルチーヌに対する想いは消えはじめ、小説は科学の観察のように、その過程をまた三百ページ…

プルーストによる恋愛のテーゼ 『失われた時を求めて12 消え去ったアルベルチーヌ』 2/4

物語の前半では、亡きアルベルチーヌへの想いに打ちひしがれるとともに、主人公の独白を通し、「恋愛のテーゼ」というべきものが語られる。 自分がどんなことでも話すことができ、心中を打ち明けることのできる、こんな崇高な人には二度とめぐりあえないだろ…

『失われた時を求めて12 消え去ったアルベルチーヌ』 プルースト 1/4

消え去ったアルベルチーヌたちへ 『失われた時を求めて』は、二十三歳のときに半年の時間をかけて読んだ本である。当時読んだ鈴木道彦訳では「逃げ去る女」というタイトルがつけられていた第六巻、それが今回読んだ「消え去ったアルベルチーヌ」である。 こ…