2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

十月に鑑賞した作品

10/3 『男はつらいよ 拝啓 車寅次郎様』 山田洋次 10/13 『現代アートとは何か』 小崎哲哉 ~10/14 あいちトリエンナーレ2019 10/30 『和泉式部日記』 いがらしゆみこ

『日本の橋』 保田與重郎 2/2

「日本の橋」でも、著者は知識や理屈ではなく、情感に重きを置いている。 日本の橋は材料を以て築かれたものではなく、組み立てられたものであった。原始の岩橋の歌さへ、きのふまでこゝをとび越えていった美しい若い女の思い出のために、文字の上に残された…

『日本の橋』 保田與重郎 1/2

新学社から出ている『改版 日本の橋』から「誰ヶ袖屏風」「日本の橋」を読んだ。 「誰ヶ袖屏風」では、秀吉の時代と永徳の才能によりはじまった桃山文化が、宗達に結実する様を述べる。 光悦宗達はその文様風絵画の早い先駆であった。その先駆というよりも、…

『グリーンバーグ批評選集』 4/4

現代における絵画の質とは 絵画芸術にとって削減しえないものとは、ただ二つ、平面性とその平面性の限界づけである。言い換えれば、これら発った二つの基準に従えば、絵画として経験され得る物体を創造するには充分なのだ。 今、芸術において価値もしくは質…

『グリーンバーグ批評選集』 3/4

白黒の絵画 抽象表現主義者が描いた白黒の絵画と、中国や日本の書との類似は、単なる近似現象、偶然の結果に過ぎない。西洋絵画にとって明度対比、色彩の明と暗との対立は、自らを他の絵画芸術の伝統から区別する三次元イリュージョンの主要な手段であり、そ…

『グリーンバーグ批評選集』 2/4

モダニズム絵画が目指したもの モダニズムの本質とは、ある規律そのものを批判するために、その規律に独自の方法を用いることである。それは芸術で言えば、別の芸術のミディアムと共用している効果をことごとく除去すること(=自己-批判)となる。 たとえば…

『グリーンバーグ批評選集』 1/4

アヴァンギャルドと抽象 アヴァンギャルドが「抽象」あるいは「非具象」の芸術に到達したのは、絶対の探求においてであった。……そこで芸術家が模倣しているのは神ではなくて、芸術や文学そのものの規律と過程であることが分かる。これが「抽象」の起源なので…