2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

九月に読んだ本・観た映画

ブログに書いた作品のほか、九月は以下の作品を鑑賞した。 9/1 『雨月物語』 溝口健二 9/4 『野火』 市川崑 9/5 『地獄の季節』 アルチュール・ランボー(小林秀雄 訳) 9/6 『スカイ・クロラ』 押井守 9/9 『奇厳城の冒険』 谷口千吉 9/10 『日本沈没』 森…

『現象学的社会学』 アルフレッド・シュッツ

5年前に読み、引越しの際に実家に送ってしまった本であるが、帰省したのを期に、アンダーラインを引いた部分を中心に再読した。 ゴッフマンの理論的根拠となったシュッツ社会学の要諦をまとめた本書であるが、内容は私たちが「日常世界」に対し、どのような…

『古寺巡礼』 和辻哲郎

2009/9/14読了 『万葉集』の世界と仏教美術の世界とは全然食い違っている。それは単に抒情詩と造形美術との差異ではない。趣味や要求や願望や、要するに心情の根本をなすものの差異である。一つの時代にかくのごとき二つの世界があるということは、現在目前…

『ドミニック』 ウジェーヌ・フロマンタン

2009/9/6読了 机にした石はほのかにあたたかく、私の手のすぐ横では、やわらかい日ざしを浴びて蜥蜴がのんびりと這っていました。木々はもう緑ではなくなり、日の光も烈しさを失い、影という影が長く伸び、雲の行き来もおだやかになっていて、それらすべてが…

『アンダーグラウンド』 村上春樹

2009/9/5鑑賞 私はインタビュイーを前にして、その限られた二時間のあいだに、意識を集中して「この人はどういう人なのか」ということを深く具体的に理解しようとつとめたし、それを読者にそのままの形で伝えようと、文章化につとめた。…… そのような姿勢で…

『武蔵野夫人』 溝口健二

2009/8/28鑑賞 「この手紙をお読みになる頃に、私はもうこの世にいないでしょう。 わたしは逝く前に、あなたに言い残しておきたいことがありまあす。 あなたがあれほど愛している、うつくしい武蔵野、でも、その武蔵野はあなたの夢であり、感情にしか過ぎな…

『日本の舞踊』 渡辺保

2009/8/20読了 舞踊の定義とは 舞踊の定義は、私にとって、あの身体の声を聞くことに他ならなかった。舞踊を見るたのしみとは、あの身体の声を聞くたのしみであった。(中略) この定義は、また舞踊が人間にとってなぜ必要なものであるかということも示して…