エッセイ

九月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 9/1 『ルネサンス・ヴェネツィア絵画』 ピーター・ハンフリー 9/7 『図説 日本建築のみかた』 宮元健次 9/21 『二時間のモナ・リザ』 西岡文彦 9/27 『京都洋館ウォッチング』 井上章一 9/29 『図説…

三月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 3/6 『みずうみ』 川端康成 3/6 『黒いオルフェ』 マルセル・カミュ 3/14 『ピアノ奏法―音楽を表現する喜び』 井上 直幸 3/19 『走ることについて語るときに僕の語ること』 村上 春樹 3/25 『クレオ…

二月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 2/4 『姉妹』 家城巳代治 2/6 『愛染かつら 総集編』 野村浩将 2/8 『君の名は 第一部』 大庭秀雄 2/12 『頼むから静かにしてくれ〈1〉』 レイモンド・カーヴァー 2/18 『全ての装備を知恵に置き換…

八月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 8/2 『和声と楽式のアナリーゼ』 島岡譲 棟方志功 祈りと旅 愛知県美術館 土着的な力強さのある作品のほか、手仕事的な小品など 8/4 『白鳥の湖』 ミラノ・スカラ座バレエ団 8/5 『ドン・キホーテの…

『斜線の旅』 管啓次郎

2011/5/28読了 ところが、たとえばオーストラリアを知りエミリーの絵画を知ることに、どんな意味があるのか、何の役に立つのかと疑問を抱く人もいる。「美術って何か役に立つんですかあ」と何の屈託もなく口走る学生たちには、いまも毎年直面する。何度でも…

三月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 3/3 『帰郷』 ハル・アシュビー 3/5 尾張徳川家の雛まつり 徳川美術館 3/6 現代能楽集?『「春独丸」「俊寛さん」「愛の鼓動」』 『星三百六十五夜 冬』 野尻 抱影 3/9 『フォッグ・オブ・ウォー マ…

一月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 1/5 『地下室のメロディー』 アンリ・ヴェルヌイユ 『神の子どもたちはみな踊る』 村上春樹 1/7 『疑惑の影』 アルフレッド・ヒッチコック 1/10 『新星座巡礼』 野尻抱影 1/11 『シシリアン』 アン…

十一月に鑑賞した作品

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 11/5 『東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・キーワード編』 菊地 成孔、大谷 能生 11/6 『新恋愛講座―三島由紀夫のエッセイ〈2〉』 三島 由紀夫 初恋は他者の発見であること、相手の…

『いつも香港を見つめて』 四方田犬彦 也斯

2010/1/20読了 (揚州チャーハンの専売特許問題に関連し)揚州チャーハンが最も多く食べられているこの香港では、この話は冗談だと思われています。香港は無意識のうちに多くの中国の伝統的な料理法を保存しているのかもしれませんが、同時にまた伝統という…

『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』 河合隼雄 村上春樹

2009/11/19読了 コミットメントというのは何かというと、人と人との関わり合いだと思うのだけれど、これまでにあるような、「あなたの言っていることはわかるわかる、じゃ、手をつなごう」というのではなくて、「井戸」を掘って掘っていくと、そこでまったく…

『新編・琉球弧の視点から』 島尾敏雄

2009/4/4読了 著者の発案による、「琉球弧」という考え、及び奄美や沖縄で感じた印象がつづられています。 ぼくは日本の中に、ある固さが感じられて、それから抜け出したいというような気がしている。どういう形だといわれると、これもちょっと困るんですけ…

旅する力/沢木耕太郎

「深夜特急」の旅や、それにまつわるエピソードが書かれた内容となっています。 氏の他の作品やエッセイですでにふれた話が多かったため、これまでの氏の作品に比べ、読後の印象は薄いものでした。しかし、「深夜特急」の旅から東京に戻った時の次の印象には…

幻想の肖像/澁澤龍彦

2008/8/2-9/10 一枚の肖像画を題材にした、短編エッセイ集。 絵の作者のことや代表的な解釈のほか、作者による独自の印象論、歴史や精神分析の知識を援用した見方なども提示している。

世界悪女物語/澁澤龍彦

2008/6/17-7/30 世界の名だたる悪女を題材にしたエッセイ集であるが、興味深いのはその人選であろう。 「ルクレチア・ボルジア(十五世紀イタリア)」「エルゼベエト・バートリ(十七世紀ハンガリア)」「ブランヴィリエ侯爵夫人(十七世紀フランス)」「エ…

世界は「使われなかった人生」であふれてる/沢木耕太郎

2008/6/1-6/16 著者が「一映画ファン」として書いたエッセイを収めているが、紀行文家としての著者の思いは、やはりあとがきの次の文章に見られる。 旅をすると、思いがけない経験や情景に触れることで、その国の何かがわかったような気になってしまうが、彼…

フローラ逍遥/澁澤龍彦

2008/2/29-3/18 二十五の花々について、著者の眼や記憶を通したエッセイがつづられている。 生前公刊された最後の作品であり、著者も自身の死を意識していたのかもしれない。そのせいもあってか、全編がどこか達観したような、乾いた筆致となっている。 妻で…

華やかな食物誌/澁澤龍彦

2008/4/14-5/27 食にかかわる古今東西の題材を扱ったエッセイのほか、西洋美術や日本の中世美術、現代芸術に関する評論が収められている。 印象に残ったのは『ヴィーナス、処女にして娼婦』という、いかにもこの本の著者らしい短編。 処女と娼婦、この相矛盾…

アジアの不思議な町/巌谷國士

2007/1/7-1/18(〜p142,p292〜) 文学者の眼によってアジアがどう表象されるのか、という興味から読んでみた。 北京にユートピア都市のおもかげを見るなど、シュルレアリストならではの独創的な視点が随所に見られる。ただ、エッセイが書かれた時代のせいもあ…

オン・ザ・ボーダー/沢木耕太郎

2007/12/29-2008/1/4 著者の二〇代の頃の旅から、最近の旅までの記録をまとめたエッセイ集。 最近の旅では、ブラジルやベトナムの記録がある。若い頃の文章から伝わるみずみずしさや感動はないが、旅の経験を重ねたなりに楽しもうとする著者の姿勢が感じられ…

日本の不思議な宿/巌谷國士

2007/11/27-12/28 筆者が旅先で出会った「不思議な宿」について記したエッセイ集。ちなみに、筆者にとって不思議な宿とは、「一見ふつうであり、正統的・伝統的なものであっても、こちらの感覚が微妙に反応して、いわくいいがたい驚きをよびさまされる」(312…

城 夢想と現実のモニュメント/澁澤龍彦

2007/10/29-11/26 「閉じこもることによって力を凝集する、――これがおそらく、城というものの本質的な機能ではないかと私には思われる。城の内部に我が身を限定するのは、一見したところ、その欲望の範囲をせまく限ることのようにも思われるだろう。しかしな…

チェーホフを楽しむために/阿刀田高

2007/9/25-10/21 チェーホフの恋愛観 「しかし、まあ、私としては、わからないこともない。この作品の主人公オーグネフは、女性には憧れていたがヴェーラを(本心において)好きでなかったのかもしれない。手近にあるものに憧れてはみたものの、いざとなると…

楽しい古事記/阿刀田高

2007/6/16-6/30 『古事記』の内容の紹介や、著者なりの解釈を記したエッセイ。古事記は以前、福永武彦訳で読んだことがあったが、全体の流れがいまいち理解できなかった。それを補足するものとして、このエッセイを読んでみた。 海幸彦山幸彦 以前読んだとき…

好奇心紀行/阿刀田高

2007/5/14-6/9 「私自身は比較的繁く図書館を利用するほうだろう。小説家は仕事がら自分の周辺に蔵書をたくさん抱え込んでいるけれど、昨今は住宅事情に限界があって、なにもかも手もとに置くというわけにはいかない。 雑誌類について言えば、私は目次だけを…

夢のある部屋/澁澤龍彦

2007/4/14-5/11 六十〜七十年代に書かれた澁澤龍彦のエッセイ集。オブジェや現代文化、エロティシズムに加え、彼が居を構えていた鎌倉についての記述もある。 「徹夜の仕事を終えて、朝風呂に入っていると、澄み切った声で最初のヒグラシが鳴き出す。それは…

澁澤龍彦との日々/澁澤龍子

2006/4/28-5/6 「澁澤との日々を改めて考えてみると、世間一般でいう、いわゆる家庭生活というものがあったのか疑問に思います。地に足つけて、しっかり日常を生きるというよりも、今でもそうなのですが、幻想のなかに生きているような、夢のなかにいるよう…

新約聖書を知っていますか/阿刀田高

2007/3/24-4/13 「本当に神の子であるということは、どういうことなのか。だれにもわからない。あえて言うならば、それは、神の子であると強く、疑いなく確信することではあるまいか。少なくとも、この二つには大差がないように私には思えてならない。(中略…

唐草物語/澁澤龍彦

2007/3/5-3/31 「金色堂については、私がわざわざ舌足らずの感想を述べるほどのこともあるまい。昭和四十三年に完了した解体修理作業によって、堂はすっぽりガラスのスクリーンで隔離密閉されることになったが、隔離密閉される以前の堂を私は見ていないので…

プルーストによる人生改善法/アラン・ド・ボトン

2007/3/7読了 「語り手と休暇にとって幸運なことに、画家エルスチールもバルベックにやって来ていて、彼は古いイメージに頼るよりむしろ、自分自身のイメージを創造する心構えができていた。エルスチールは、その土地の場面を描いている。(中略)語り手は競…

旧約聖書を知っていますか/阿刀田高

2007/2/25-3/4 「(イスラエル民族について)シンボルとして唯一神を掲げ、血の系図を重視し、規律をきびしく整え、排他的とも見えるオリジナリティを堅持しなければ、存続することさえむつかしい。そのために、ああいう神が必要であり、その神を持ったから…