2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

とことん!押井守

8月前半にBS2で放映していた押井守特集のうち、前述の攻殻機動隊に続いて4作品を視聴した。 作品のあとに放送された監督自身によるコメントとともに、印象に残った点を記しておく。 ・『天子のたまご』 内容自体はよく分からないものだった。ただし、放…

情報自由論/東浩紀

2007/8/18-8/27 環境管理型権力とアーキテクチャ 「(キセル乗車への対策について)自動改札機の導入はこれらの問題を解決する切り札である。自動改札機が導入された改札口では、キセルを試みようとしてもその可能性がない。(中略)しかもその規制は、切符…

影の現象学/河合隼雄

2007/8/11-8/26 影の反逆 「このような集団(投影が規制され影を自覚することが難しくなった集団)が強力であることはもちろんである。しかし、どのような強いものも何らかの弱点をそなえている。このような集団は、あるときに強烈な影の反逆を受け、それに…

太宰治短編集

2007/8/11-8/26 女生徒 「自分から、本を読むということを取ってしまったら、この経験のない私は、泣きべそをかくことだろう。それほど私は、本に書かれてある事にたよっている。一つの本を読んでは、パッとその本に夢中になり、信頼し、同化し、共鳴し、そ…

ハンナ・アーレント入門/杉浦敏子

2007/7/29-/8/10 アーレントの思想を『人間の条件』を中心に解説。 判断力 「判断力とは、共有される公共的空間を保持するための共同的な理性的能力であり、公的生活、公的幸福について判断を下す能力なのである。人々がこの共同世界、公的世界の在り方に無…

アメリカ ニュース報道の危機(BS世界のドキュメンタリー)

2007/8/8 第3回、最終回のみ視聴。 現在のアメリカの報道における問題について、以下の問題点が挙げられていた。 ・ジャーナリズムの質が変容している。報道側が伝えたいことではなく、視聴者が知りたいことを伝えるようになり、ジャーナリズムにおける公共…

攻殻機動隊/押井守

2007/8/7 人間が半機械化、ネットワーク化した時代のサイバーテロと、それに立ち向かう機動隊を描いた作品。 舞台背景としての近未来都市が非常に魅力的だった。高層ビルがそびえる大都市の傍らに、香港の下町のようなスラムが広がる。街の様子を描いた部分…

ベリッシマ/ヴィスコンティ

2007/8/5(再観) 娘をオーディションに合格させようとして奮闘する母親を描いたドラマ。 イタリアの下町の様子がとても生き生きと描かれている。明るい乾いた日差しの下で、イタリアのおばさんたちは本当によくしゃべる。生卵に穴を開けて吸ったり、歌いな…

二時間のゴッホ/西岡文彦

2007/7/23-8/5 ゴッホの色彩の秘密 「白といえば、地塗りの色と思われがちだが、その真価はむしろ「上塗り」によって発揮される。 上塗りは、なまの色がぶつかって調和の乱れた画面を補正する奥の手で、全体にひとつの色を薄く塗って、その色のベールによっ…

タクシードライバー/スコセッシ

2007/8/2-3 夜のニューヨークを舞台に、一人のタクシードライバーの(非)日常を描いた作品。 冒頭、世間に対する愚痴を言いながら、主人公は夜の街をタクシーで流す。サム・テイラー風の音楽がBGMとして流れるが、まずこの場面の気持ちよさに魅せられた…