『1735km』 グエン・ギエム・ダン・トゥアン

2010/5/17鑑賞
2005年のベトナム映画である。以前鑑賞した、同じ時期のインドネシア映画『ガレージ』が、非常に同時代性を感じさせる作品であったのに対し、この映画からはまた違う印象を受けた。
確かに、PCや携帯電話など、現代的な意匠もあり、それらの登場にも違和感はない。しかし、人物造型や演出、プロットの作りこみに稚拙さを感じてしまうのだ。ここで、日本や香港の1980年代の作品との類似性を持ち出すのはたやすいが、それを簡単に、国の後進性と言いたくはない。
仮に、ベトナムの人たちがこの映画をリアルに感じているとする。その視点で見ると、ベトナムが持つ、独自の近代化を遂げたうえでの現代文化、あるいは今を表現することにたいする「あがき」が見て取れる気がする。