2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

四月に鑑賞した作品

今月は以下の作品を鑑賞した。 4/1 『イタリア・ルネサンスの文化1』 ブルクハルト 4/7 『どろろ』 手塚治虫 4/10 『トリスタンとイゾルデ』 バイロイト音楽祭より ダニエル・バレンボイム指揮 4/12 『故郷』 山田洋次 4/18 『陽は昇る』 マルセル・カルネ …

『ウンベルト・サバ詩集』 2/2

「拡張現実」という言葉がある。どちらかといえば、情報テクノロジーや、その発想を基にした批評などでよく聞かれる言葉だ。 サバの詩集を読み、私が思い浮かべたのはこの「拡張現実」という概念だった。 彼が歌ったトリエステの景色は、偽物ではない。詩人…

『ウンベルト・サバ詩集』 1/2

「もし今日、トリエステに着いて……なにげなく選んだ道を、サバとともに歩くことができたなら……」 数年前の夏のある日、私は所用でトリエステに行く機会をもった。……途中、道ですれちがう人たちに、銀行や税関の重々しい建物に、手摺のついた細くて急な石畳の…

『恋愛のディスクール・断章』 ロラン・バルト 2/2

ところで、恋愛のキーワードがアルファベット順に、無機質に並べられたこの本の構成は、例えば十二音列で作られた、無調音楽を思わせるところが無いだろうか? 音楽を愛したバルトにとって、支配する調性のない音楽から得たインスピレーションは確実にあった…

『恋愛のディスクール・断章』 ロラン・バルト 1/2

「嫉妬」「憔悴」あるいは「追憶」。このような、男女間の恋愛について回る感情を、「ウェルテル」はじめ、 古今の文学作品を渉猟しながら分析したこの本。 一見、作者ロラン・バルトの体験が色濃く反映されているように思えるし、出版された当時は、そのよ…