「過去の旅」

首里の夜

今年の3月に三日間ほど、沖縄で過ごした。 今回は那覇の中心部ではなく、首里のペンションに宿をとった。 3月の那覇は既に気温が高く、夕方も上着を着ずに歩ける。宿から近い儀保、首里周辺を歩くと、夕方の街からは、海沿いの街特有の開放的な空気が感じら…

『転がる香港に苔は生えない』 星野博美

2010/12/30読了 10年近く前に「話題の本」として、多くの本屋で平積みにされていた本であったと思う。当時、気になってはいたが読まずじまいであり、発刊から10年を経て、ようやく読むことができた。 90年代特有の香り 単行本の発刊は2000年であり、96〜98年…

戦争の悲しみ/バオ・ニン

2009/1/25読了 読み進めながら、以前訪れたヴェトナムのことを考えていました。私がヴェトナムを訪れたのは1999年と2003年で、それぞれ2週間程度の滞在でした。この作品からは、その時ヴェトナムに対して抱いた「荒々しさ」と「都市の停滞感」という2つの印…

旅する力/沢木耕太郎

「深夜特急」の旅や、それにまつわるエピソードが書かれた内容となっています。 氏の他の作品やエッセイですでにふれた話が多かったため、これまでの氏の作品に比べ、読後の印象は薄いものでした。しかし、「深夜特急」の旅から東京に戻った時の次の印象には…

八重山諸島

数年前、はじめて島を訪れた時のことを思い返す。 旅に希望が持てなくなったあとの、しばらくぶりの旅だったと思う。なぜ旅に出ようと思ったのかは分からない。ただ、今ある日常をずらしてくれるのもが欲しかった。 島に渡ると、宿のマイクロバスが出迎えて…

ボロブドゥールの星空

数年前、インドネシアのジョグジャカルタで連休を過ごしたことがあった。その滞在中、近郊にある遺跡、ボロブドゥールで過ごした2日間が忘れられない。遺跡ももちろん魅力的であったのだが、それとともに私の心の中にあるものは、遺跡を取り囲む村々、そして…