恋する静物―静物画の世界/名古屋ボストン美術館

2011/12/25鑑賞
17世紀〜現代の静物画を紹介した内容。いわゆる「スティルライフ」だけではなく、様々なアプローチで静物を捉えた作品が展示されている。特に興味をひかれた展示は以下のもの。
・初期の静物画 ヴァニタス画など
・17世紀の食器 動物や果物を模したもの
アメリカの静物画 ヨーロッパと比較し、トロンプルイユなど技巧にこだわったものが多い
印象派静物画 表現の実験としての静物画。色彩やタッチに特徴的なものが多い
・近代の静物画 クールベの心象風景、マティスの色づかい、キュビズムの造型分析
・現代の静物画 ミニマリズムによる象徴的表現、プラスチックを使用したポップアート的作品、映像による時間のうつろいの表現、洗面所を描いた写真のような作品
全体を通して見ると、当初はヴァニタスの思想を表現していた静物画が、19世紀にはトロンプルイユや色彩表現の実験場となり、20世紀には象徴性を帯びた表現が主となる、という流れが分かる。静物画がジャンルとしてつねに絵画表現の前衛でありつづけていることが理解できる。