第366回定期演奏会 早春/名古屋フィルハーモニー交響楽団

2010/2/27

ラヴェル:スペイン狂詩曲

伝統的な西欧の作曲技法に、マラゲーニャやハバネラなど、スペインのリズムを取り入れた内容となる。ただし、あくまで「スペイン風」であり、土着の生々しい印象は少ない。

ルトスワフスキオーボエとハープのための二重協奏曲

弦楽器のうごめき、そして繰り返される不協和音が印象に残る。1979-80年作曲の作品であるが、出口の見えないような曲の構成は、当時の社会の反映であろうか。

ホリガー:クリスティアン・モルゲンシュテルンの詩による6つの歌

6曲が演奏される。全体的に神秘的かつ陰鬱な印象を受ける。また、解決感がなく、含みを持たせるような曲想が多い。

シューマン交響曲第1番変ロ長調 作品38『春』

・第1楽章:アンダンテ−アレグロ
おだやかなモチーフの反復。春の穏やかさを感じる。
・第2楽章:ラルゲット
「春の夕べ」の印象。あくまでやわらかな響きであり、春のさわやかさが聴き取れる。
・第3楽章:スケルツォ
短調の主題。曲中、幼少期のノスタルジアを思い出されるような、子供たちの遊びの様子が聴かれる。
・第4楽章:アレグロ
春もたけなわ。コーダに至るまで、さらに輝かしさが加わっていく。しかし、それは冬に対する勝利の感覚ではなく、おだやかな喜びを持って表現されるものだ。春の訪れは、そのような喜びと共にある。