第365回定期演奏会 冬の日の幻想/名古屋フィルハーモニー交響楽団

2010/1/23

武満徹:ウィンター

管楽器を吹く空気音を音色として扱うなど、オーケストラの楽器を和楽器のように使う面白さがある。現代音楽ではあるが、日本の伝統音楽を取り入れているせいか、直観的な難解さはなく、心地よく鑑賞出来た。

R・シュトラウス:4つの最後の歌

3,4曲目は歌詞を見て鑑賞した。
誌の内容を見れば、小鳥のはばたきや意識のまどろみをオーケストラの楽器が表現していることが理解でき、感動も一層大きくなる。それだけに、歌い手の声量が大きくなく、子音が聞き取りにくかったことが残念に思えた。

チャイコフスキー交響曲第1番ト短調 作品13『冬の日の幻想』

・第1楽章:冬の旅の幻想
第一主題は吹雪の中を走る馬車の様子、第二主題は旅人を待つ暖かな室内。挿入される民族音楽調の旋律は、雪の中での子供たちの踊りであろうか。
・第2楽章:陰気な土地、霧の土地
長音階短音階教会旋法らしき音階など、複数の調性で旋律が奏でられる。それにより、冬の曇り空の下の、北国のメランコリックな気分が感じられる。
・第3楽章:スケルツォ
「タンタンタタタンタン」というリズムの、弦楽器と管楽器の掛け合いがつづく。雪を舞いあげるつむじ風のように感じる。次の緩やかな美しい旋律は、外の寒さから護られた室内の様子。楽章の最後は当初のリズムは単一の楽器のみで奏でられ、風が弱まる様子が描かれる。
・第4楽章:終曲
冒頭の静かな管楽器により、雲間から射す太陽の光が表現される。しかし、空は再び曇天となり、その後また晴れわたる。外では民謡調の春の踊りが聴こえる。次第に曇天は去っていき、高らかなファンファーレとともに春の訪れが宣言される。
しかし、東洋人の感覚からは、この「春の勝利」は大げさすぎるように感じてしまった。ロシア人にとって春の訪れとは、この曲のように盛大に祝うべきものなのかもしれないが。