『世界』 ジャ・ジャンクー

2010/4/11鑑賞
「世界」というテーマパークで働く人びとの日常を、低い視点でえがく。
テーマパークでそれぞれの役割をこなすときの皮相さに比べ、例えば彼らの恋愛模様や、ロシア人従業員との交流、携帯電話でのやりとりが、よりいっそう現実の重みをもって彼らに迫っている。そこには、日本に比べ、まだ青年期にある中国での、仮想的な世界に対する免疫の無さも見て取れる。
その意味で、日本においても、若くして役割を演じなければならない社会、例えば芸能界やスポーツ界などでは、この映画の人物たちのような居心地の悪さを感じることも多いのではないかと感じる。芸能界、スポーツ界に身をおく人たちの、時に奇妙に見える行動にも、そのように考えることで、少しは近づけるものなのかもしれない。

世界 [DVD]

世界 [DVD]