芸術

[古典] [映画]三月に読んだ本・観た映画

ブログに書いた作品のほか、今月は以下の作品を鑑賞した。 3/1 『伊勢物語』 3/20 『バッハ演奏と指導のハンドブック』 クラウディオ・ソアレス 3/23 『夜行列車』 イェジー・カヴァレロヴィチ ヴァイブの響きとライティングの美しさ、医師の冤罪。伊勢物語 …

『フランス映画史の誘惑』 中条省平

2009/11/8読了 詩的レアリスム 観客の心をとらえたのは、そうした物語を通じて表現されるペシミズムの強烈さでした。それは一見、非常にリアリスティックな目で描かれているように見えながら、じつはそうではありません。人間の運命への敗北、ペシミスティッ…

『<映画の見方>がわかる本』 町山智浩

2009/10/31読了 ロッキーも、ブロディも、ルークも、ジョン・ウェインのように「あらかじめ」ヒーローとして登場するわけではない。どこにでもいそうな、つまりニューシネマ的な「かっこ悪い男」である。「正義」や「名誉」や「愛国心」にも興味はない。しか…

『音楽の聴き方』 岡田暁生

2009/10/11読了 自分の聴き方に自覚的になること いずれにせよ私たちは、他のどんな芸術にも増して音楽体験は、こうした生理的な反応に左右されやすいことを、よく自覚しておいた方がいい。「自分はこういうタイプのメロディーにぐっと来てしまうクセがある…

『日本の舞踊』 渡辺保

2009/8/20読了 舞踊の定義とは 舞踊の定義は、私にとって、あの身体の声を聞くことに他ならなかった。舞踊を見るたのしみとは、あの身体の声を聞くたのしみであった。(中略) この定義は、また舞踊が人間にとってなぜ必要なものであるかということも示して…

七月に読んだ本・観た映画

ブログに書いた作品のほか、七月は以下の作品を鑑賞した 7/9 『奇人たちの晩餐会』 フランシス・ヴェベール 7/20 『巨匠たちの映画術』 西村 雄一郎 7/23 『ランボー全詩集』 アルチュール ランボー(宇佐美 斉 訳) 7/29 『20世紀ノスタルジア』 原将人 7…

『写真の読みかた』 名取洋之助

2009/7/24読了 写真の読み方のルールとは レンズの眼の性質に人間が馴れたために、原因と結果をとり違えるのです。現在、低い建物を高く見せようとする時には、特に遠近感の強くなる広角レンズを使うのは、このとり違えを利用しているのにほかなりません。 …

『木村伊兵衛と土門拳』 三島靖

2009/7/2読了 木村伊兵衛の写真 (1930年代に撮られた熱意と気負いにあふれた写真に比し)木村のは、まるで、“さっき撮った”かのように見える。写っているものは庶民の風俗史ということになるのだが、社会性を重んじた観察眼で撮っているようには見えない。…

六月に読んだ本・観た映画

ブログに書いた作品のほか、六月は以下の作品を鑑賞した 6/11 『バッファロー'66 』 ヴィンセント・ギャロ 6/15 『名曲に何を聴くか―音楽理解のための分析的アプローチ』 田村 和紀夫 6/19 『アジェのパリ』 ハンス・クリスティアン・アダム 6/27 『汚れた…

五月に読んだ本・観た映画

ブログに書いた作品のほかに、五月は以下の作品を鑑賞しました。 5/11 『雨』 ルイス・マイルストン 5/12 『慕情』 ヘンリー・キング 5/16 『めまい』 アルフレッド・ヒッチコック 5/24 『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏』 岡田 暁生 5/28 『バベル』 アレ…

『写真美術館へようこそ』 飯沢耕太郎

2009/3/5読了 写真の誕生から始まり、各時代の名作をテーマごとに見ていく、という構成となっています。 このような本では、写真史の流れを覚える、というよりは、興味のある写真家や作品を見つけ、それをじっくりと味わうきっかけとする、という読み方が面…

今日からデジカメ写真がうまくなる/九門易

2008/7/19-7/24 旅行に行ったときにきれいな写真をとるコツが知りたくて読んでみたが、技術的なこと以外にも、広告写真が作られるカラクリや、カメラマンと被写体・鑑賞者の関係など、写真芸術論的な内容も面白かった。 たとえば、ポートレートを撮ることに…

現代中国文化探検/藤井省三

2008/2/2-2/11 近代・現代の中国の都市文化を、それらが表象された都市文化とともに解き明かしてゆく。 北京では、「単位」で構成される社会と、現代におけるその危機を述べる。 上海では、戦前に全盛期を誇ったオールド上海の様子とそれを表象するメディア…

二時間のゴッホ/西岡文彦

2007/7/23-8/5 ゴッホの色彩の秘密 「白といえば、地塗りの色と思われがちだが、その真価はむしろ「上塗り」によって発揮される。 上塗りは、なまの色がぶつかって調和の乱れた画面を補正する奥の手で、全体にひとつの色を薄く塗って、その色のベールによっ…

セザンヌ―孤高の先駆者/ミシェル・オーグ

2007/7/7-7/16 「セザンヌのデッサンが規範から「逸脱」するのは、1880年以降である。果物皿や瓶は垂直ではなく、テーブルクロスの両端からのぞくテーブルの縁は互いにずれており、りんごは斜めになった長持の蓋の上に不安定にのっている。それまで絵画とは…

二時間の印象派/西岡文彦

2007/6/2-6/17 印象派の父・モネは何を描こうとしたか 「なぜならば、彼が画家を志したのは、ブーダンによって「描かれた絵」を見てのことではなく、ブーダンによって「描かれつつある絵」を見てのことだからである。すでに「描かれた絵」の完成された美しさ…