大人は判ってくれない/トリュフォー

2007/6/16
トリュフォーの少年時代を描いた自伝的映画」と紹介される作品。映像や音楽が、少年時代の持つみずみずしさに充ちている。また演出かは判らないが、画面全体が軽く霧がかっているように見えた。私にはこれが、幼年期の記憶の、ノスタルジーを持ったあいまいさを表しているように思えた。
主人公が父親のタイプライターを盗み、収監されるために護送車に乗せられるシーンがある。そして彼は夜のパリの街を見ながら、作品内で初めて涙を見せる。私はこの場面が最も美しいと思えた。このとき主人公の少年は、自分の幼年時代が終わりつつあることを、強く感じていたのではないだろうか。