夢の宇宙史/澁澤龍彦

2006/11/28読了
「機械は、少なくとも新時代の発端においては、自然の活動する生き生きした姿に対抗し得るような、自立的な精神世界が存在しうるということの証拠であり、矛盾に満ちた生のままの自然現象よりも、はるかに分別があり、合理的に身を処することを知っている、理想の製造物が存在し得るということの証拠であった。啓蒙主義の時代よりはるか前に、選ばれた知的な環境で、さかんな機械崇拝が起こっていた」(30)
(著者が子供の頃によくガラクタを集めたというエピソードに続いて)「これらの「宝物」は、子供たちの想像力にとって、一つの別世界を開顕する神聖なオブジェの数々なのであり、これらの呪物は、わたしたちの種の記憶の底によどんでいる物体への汎性欲的な愛着の端的な現れなのである」(44)
(ゾウリムシの接合運動に続いて)「その最も原始的な形態において、愛欲は食物の摂取と直接的に結びついている。それはいわば、自己とまったく同一でない、未知の神秘な魅力を示している同類の方へ向かって惹きつけられる、存在の飢えともいうべきものである。」(227)