知的複眼思考法/刈谷剛彦

2007/9/2-9/22

批判的読書

「批判的読書の第三のポイントは、著者の論理を丹念に追うことです。論理に飛躍がないかどうか。過度に攻撃的な主張がないか。論理を丹念に追いながら読んでいく。批判的読書の神髄はここにあります。論争が含まれる場合、反対意見が著者によって完全に否定されているのかどうか。感情的な批判かどうか。反対意見をまったく認めないのか、それとも妥協した調整の跡が見られるのか。攻撃的な文章を批判的に読むためには、対立した意見に対する著者の構えに注目する必要があります。そして、何よりも重要なことは、根拠が薄く支持されない意見や主張がないかを見極めようとする態度です。根拠がどれだけあるのかを見極めることは、批判的読書にとって急所とも言える部分です。「そうかもしれない」とか、「そうなる可能性もある」といったことがらにもとづく議論は、「必ずそうなる」という必然的なことがらに依拠した議論とは信頼性も違うはずです。」(95-96)
ほかに、批判的読書の方法として「著者のねらいをつかむこと」「著者の前提を探り出し、疑うこと」があげられている。

問題を文脈からとらえる

「ここからさらに一歩話を進めると、メタの視点をどうしたら得られるのかがわかります。すなわち、どのような文脈において、今自分の目の前にある問題が問題とされているのかに目を向けることが、「メタ」を探るひとつの方法になってくるのです。「何が問題か」を考えるだけではない。「なぜそれが問題になったのか」という、<問うこと自体を問う>視点を持つことが、複眼思考へのもうひとつの道になるのです。」(355-356)
ポイントは、最初の問いがどのような意味を持つのか、その文脈までさかのぼって考えること。そうすることで、問題に対する視野が広がってくる。また、問題の文脈をはっきりさせることは、問題への対処のしかたを考える場合にも役に立つ。