ラ・パロマ/ダニエル・シュミット

2007/11/16
娼婦ラ・パロマと、彼女に恋をする青年貴族イジドール、彼の友人ラウルの人間模様を描いた物語。
三人の恋が話の中心となるのだが、その恋は純粋とも、退廃的とも、様式的とも見え、描き方は一言では表現できない。あるいは通常の映画の恋の単純さを皮肉った演出なのかもしれない。
暗い雰囲気の中にも、山をバックに二人で歌うシーンなど、印象的な描写もある。
パロマの死後三年たち、その遺言に従って、イジドールは棺を開け礼拝堂に納めるために遺体を切り刻もうとするが、作業の最中にパロマの笑い声が聞こえ、次の場面では娼館で歌う彼女の映像が流れる。これは彼女の死体がニセモノであることを暗示しているのか、単にイジドールの空想の中の映像なのか、いまいち判らなかった。