カンディンスキーと青騎士展/愛知県美術館

2011/2/25鑑賞
カンディンスキーとその周辺人物の作品を紹介した作品展であるが、時代により、彼が様々な表現を試みていたこと、それらから同時代の他派の影響を読みとれたのは収穫であった。
たとえば初期の≪花嫁≫を描いたころ(1901〜1907年)の作品には、ロートレックのポスターのような、単純な表現が見られる。
その次の時代(1908〜1910年)の作品である≪室内(私の食堂)≫などからは、印象派を思わせる筆づかいや色彩が見られる。展示品にはペインティング・ナイフを用いたものもあった。
そのなかから、次の段階である≪オリエント風≫などの極彩色の抽象的表現が現われる。この表現が、さらに抽象化されたカンディンスキー後期(1911年〜)の代表的作品につながるのだが、上述のような流れで見学すると、抽象性とともに、その絵画的構築性もしだいに強力になっていくことが理解できる。
今回の展覧会では、上の三点のほか、アウグスト・マッケ≪遊歩道≫の絵はがきを購入した。
色彩の趣味のよさからか、ポピュラーな作品ではあるが、親しみやすさとともに構築性・前衛性も兼ねそなえた、傑出した作品であるとあらためて思う。