シャガール展とシャガール版画展

5月に愛知県美術館で、そして7月に小牧市メナード美術館で、この二つの展覧会に行ってきました。
シャガールといえば、恋人や雄牛が登場する夢幻的な絵画のイメージがありますが、今回の展覧会では、絵画だけにとどまらない、彼のさまざまな技法が紹介されていました。また、旧約聖書ギリシア神話叙事詩など、古典を題材にした作品が多い、むしろそれがシャガールの主要な題材であったこともわかります。
一番の収穫は、「ダフニスとクロエ」をテーマとした一連の作品。愛知県美術館ではバレエの衣装や舞台背景、メナード美術館ではリトグラフが展示されています。シャガールの色彩により、この物語のもつ牧歌的なエロティシズムが鮮やかに表象されています。
旧約聖書の物語を描いた作品でも、夢のような色で見事に彩るシャガールですが、真価が見られるのは、官能的な古代ギリシアの詩や物語を表現した作品のように思えます。表現する内容と、技法や色彩が見事に一致した、幸福な世界がそこにはあります。