『ランボー『地獄の季節』詩人になりたいあなたへ』 野村喜和夫

2009/5/17読了
ランボーが目指したこと、著者によればそれは、既成の美の破壊、言語体系の破壊と再構築となります。

ランボーの詩の行為の本質がここに早くもうかがわれるわけだ。彼はこうしたいと考える。「美」=詩の取り澄ました外観をあばき、その醜い内実を引きずりだすことによって、あるいは「美」=詩を徹底的に解体し、再構築することによって、そこから「未知」なるものがあらわになるようにすること。きれいごとの詩、美しいだけの詩を、私の否定にまで高めること。(38-39)

しかし、そのせいでしょうか。詩を読む経験が少なかった自分にとっては、ランボーの詩は極めて難解であり、著者の解説もアクロバティックな印象を受けます。既成の形式を破壊するような言語芸術であるならば、それが繰り広げられる地平は常人には到達しがたいものなのでしょう。その地平にたどりつけるような知性なり感性なりを持っていなければ、真に鑑賞することはできない、それが現代詩あるいは現代芸術の難しさなのではないかと思います。