冬の青空

今日の名古屋の空は、高く青く澄んでいる。光の粒子が見えそうなほど太陽が明るい。
冬のこのような空が好きだ。それは、澄みきった空気とともに、あるノスタルジーを思いおこさせる。
私が生まれ育った街は、冬になると雪におおわれるようなところだった。一週間ほぼ毎日、雪が降り続くこともある。その冬の中で、時に青く澄んだ空が見られることがある。その青空は、閉ざされた小さな街と外の世界をつなぐ、通路のようなものとして感じることができた。
なぜ冬の青空にだけ、そのような感情を抱けたかはわからない。ただそれは、どこか未来や遠くの都市を象徴するイメージではあったのだ。
今日の空は、あの頃の青空によく似ている。ただ、「遠くの都市」に住み、「未来」の眼にしている私にとって、今日の空はただそこにあるだけのものでしかない。
今日の青空に過去へのノスタルジーを感じることはできる。しかし、それに未来を感じることのできない寂しさはどうしようもない。