バラードは、数多くあるショパンの作品の中では、比較的マイナーなものとなるかもしれない。
ライナーノーツによれば、「バラードはショパンが創作した形式であり、「自由な形式の叙事詩」という文芸上のバラードの特徴を、ピアノ音楽に結実させたもの」とのこと。ショパンのバラードはミツエキヴィッチの詩に霊感を受けて作曲されたものだが、「詩の内容を音楽で描写したものではなく、詩の印象が音楽を呼んだものとして受け取るべきである」。
ツィマーマンの演奏の第一印象は、まず「男性的な演奏」であるということ。甘美ではあるが力強い。曲を知的に解釈したうえで、体にしみこませた旋律を音にしたかのような演奏。
しかし、聴き込んでいくうちに、その印象は少しずつ変化していった。とくに、そのあとで聴いたポリーニとくらべ、ツィマーマンのショパンは「呼吸している」ように聴こえてくる。
バラードをめぐるツィマーマンの発言からも、この印象は彼が表現しようとしたショパンに他ならないことが分かるだろう。
ショパンはオペラに魅惑されていました。オペラこそが彼の音楽の呼吸する感じの源泉なのです。それはとても自然で、歌うような感覚です。私はいまピアノを声と見做し、声を楽器と見做しています。(ライナーノーツより)
- アーティスト: ツィマーマン(クリスティアン),ショパン
- 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
- 発売日: 2009/04/29
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