アンドリュー・ワイエス―創造への道程(みち)―/愛知県美術館

先日亡くなったこの画家は、生涯にわたりペンシルヴァニア州メイン州の二つの場所を描き続けていたそうです。
今回、まとまった作品展を初めて見ましたが、自分の幼少時代を思い起こさせるような作品が非常に多く展示されていました。それは、これらの作品の舞台がアメリカの田舎町であり、小路や雪原の風景が私の育った町と似ているから、という理由もあります。しかしそれ以上に、素朴な対象に美を見いだし、それを表現しようとしてきたワイエスの世界観に、共感するものが多かったからだと思えるのです。
この画家は日本でも非常に人気があるそうです。彼のファンの多くは田舎の風景を知らない、都市部で生活してきた人だと思います。それでも氏の作品は、彼らの中の心象風景を、呼び起こすものなのではないでしょうか。