猿の惑星/フランクリン・J・シャフナー

2008/6/3
未知の惑星に到着したと考えていたその星は、実は人類衰退後の地球だったというあまりにも有名な話。
実際に見てみると、シナリオは分かっているもののさまざま場面に面白い描写がある。たとえば「文明的な」人間と「非文明的な」猿の立場を入れ替えることで、人間がもつ醜さ、滑稽さが見えてくる。また、猿の文明はまだ前近代にとどまっているのだが、その前近代的な猿が、人間の野蛮さを聖典として記録しているところが面白い。
聖典には次のように書いてある。「人間を警戒すべし、悪魔の手先なり。快楽や欲ゆえに他者を殺す霊長類は、ただ人間のみ。一片の土地欲しさに兄弟さえ殺す。繁殖を放置すれば、全土が不毛の砂漠に変わるだろう。」