シェルブールの雨傘/ジャック・ドゥミ

2007/7/3
この作品は悲恋の物語にもかかわらず、どこか幸福感があった。それをもたらしてくれるものは、映画の色彩と音楽であろう。オープニングは上空からシェルブールの通りを色とりどりの傘が行き交う場面からはじまる。その後も、ドアや壁の深く鮮やかな色づかい、華やかな衣装などシーンごとに目を引く色画が詰め込まれ、それは雪の白で終わるラストまで止まることはない。また、音楽も素晴らしい。有名なメインテーマよりは、作品前半に出てくる幸福感に満ちた曲に魅かれる。半音階の音程を多用した、異国的で甘美なメロディーは、映像の色彩と相まって映画を見ることの楽しさを享受させてくれた。