Setouchi 2017 1/3

 今年の夏も、また瀬戸内に行った。昨年以来、1年ぶり。
 最初の目的地は倉敷。大原美術館、大橋家跡、阿智神社、美観地区の夜景など、行きたかったところを見物する。大原美術館では、モーニングツアーにも参加した。学芸員のおじさんが、コレクションの由来や、美術館が作品を手に入れたいきさつを説明してくれる。
 観光の途中、「純喫茶」と書かれた古い喫茶店に入った。店では、イージーリスニングが流れている。注文したジュースを飲みながら、店にあった30年前のガイドブックを見る。倉敷のページは、美観地区と大原美術館、テニスコートがあるレジャー施設が紹介してある程度。
 その時代から比べれば、倉敷は大きく変化している。観光用のウェブサイトを見れば、美観地区や美術館以外にも、児島のデニムや水島の夜景が紹介されている。たくさんあるショップでも、デニムや雑貨を扱う、新しい店が多い。そのような街は歩いていて楽しい。
 そして、思いのほか、人が多い。外国人観光客が多いのは予想できたが、若い人が多い。美観地区は運河が流れ、車が入れないため、人が多いわりにうるさくない。大げさかもしれないが、少しヴェネツィアのような感じもする。
 30年の間、倉敷の観光地としての賞味期限は切れなかった。むしろ、新たなメニューを並べながら、国際的な観光都市に変貌を遂げつつあった。時が作り出す変化を、目の当たりにしたような気がした。
 大したきっかけがあるわけでもないのに、倉敷に行きたくなった私も、その磁場に惹かれたのだろうと思う。