『ガレージ』 アガン・セントーサ

2009/12/24鑑賞
3年前に製作されたインドネシアの映画となる。
舞台となる街並みには古びた建物が多く、ストーリーも大味なところがある。しかし、登場人物の生活や、彼らの音楽への接しかたに目を向ければ、別の様相が見えてくる。
彼女たちの髪型や服装を見れば、自分に似合ったものを選び、なかなか格好がよい。演奏される音楽にしても、パンクやポップスを彼らなりに解釈しており、聴きごたえがある。高機能の携帯電話やPCは、違和感なく生活に溶け込んでいる。
彼女たちの生活と私たちの生活には、すでに「発展度」や「成熟度」といった差は存在しないのだ。地域性に根差す差異が存在するだけである。この映画は、そのような現在の東アジアの文化状況を見せてくれる。
また、この作品はインドネシアの地方都市、バンドンが舞台となっているが、その都市独自の音楽文化やコミュニティが存在することに興味を覚えた。日本の地方都市でも、その街のインディーズ文化があるところは少なくないと聞く。情報がフラット化していく中で、地方的なもののしぶとさを見ることは、希望を感じさせられることではある。