ロートレック展/愛知県美術館

2007/12/1
ロートレックといえばポスター、そして娼婦や踊り子を描いたスケッチ風の絵である。しかし今回の展覧会では、それだけに留まらない、彼の多様な作品が展示してあった。絵葉書を購入した4点について書き留めておく。
・『小説<悦楽の女王>』・『シャ・ノワール
どちらも印象的なポスターであるが、前者の色づかいや構図が、同時代性を強く感じさせるものであるのに対して、後者のそれは独自性が強い。くすんだ色合いや、黒猫の背後の判子のようなシンボルは、浮世絵の影響を強く感じさせる。
・『赤毛の女<身づくろい>』
踊り子の楽屋裏を捉えた作品。ロートレックが描く踊り子といえば、躍動感のある軽やかな表現が有名であるが、この絵は動きがない上に色づかいもくすみ、全体的に暗い印象を受ける。モデルに気付かれないように隠しカメラで撮ったかのようなアングルには、ドガの影響が見られて面白い。
・『マルセル・ランデール嬢の胸像』
ロートレックの描く踊り子は、決して美人に描かれてはいない。どちらかといえば戯画化され、動物のような印象を受ける。展覧会では当時の踊り子の映像も流していたが、それを見ても、彼女たちは決して美人ではない。それらを見て「世紀末の怪物趣味」という言葉が頭に浮かんできた。この絵はそれを象徴するかのような一枚。