バーンスタインのシューマン

バーンスタインシューマン全集。
3月くらいから聴いていて、もうだいぶ聴きこんだかな、という感じがします。
他の指揮者による演奏をそれほど聴いているわけではないため、比較はできませんが、収録された4曲から感じる印象は、いずれも「正統的」というもの。そのなかで、ピアノによる作曲の痕跡が見られるところ、あるいは独特のくぐもったような響きがあり、これがシューマンの音なのだろうと思います。
この響きに関し、20世紀の指揮者の中には、楽譜に手を入れて演奏する方も多く、よりクリアな、迫力のある響きが目指されたこともあったそうです。
確かに、曲のなかには、完成された作品というより、作曲者の試行錯誤の過程を聴きとるような印象を受ける部分もありました。いっぽうで、第4番第3楽章の最後の部分など、シューマン以前の交響曲にはなく、かつ「これしかない」と思えるような響きもあります。
たとえばフィルムとデジタル写真の比較で、デジタルの鮮やかさに慣れてくると、フィルム写真のあたたかみに惹かれることがあります。近年では、古楽器や小編成のオーケストラによるシューマンの演奏も充実してきているようですが、フィルム写真のようにシューマンのやわらかい音の求められる時代が、いずれ訪れるのではないでしょうか。

シューマン:交響曲全集

シューマン:交響曲全集